【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中

連載小説『ディアーナの罠』

ホームページへ戻る

名前
Eメール
題名
内容
URL
削除キー 項目の保存


名前 MUTUMI
題名 224
内容  遥か遠く……実際は宇宙船の天井付近に視線を当て、カレンはボウと吐息をついた。
「あの頃は本当に楽しかったです」
「……あ、そ」
 渋い顔をしながらも、プレスは曖昧に返事を返す。
「グランマお元気かしら? もう随分お年ですよね?」
「大丈夫だろ。ありゃ当分死なないよ」
 何だか少し投げ遺りにプレスは応えた。
「身内の俺が言うのもなんだが、いい加減引退してても良いはずなのに、まだ現役の海賊なんてやってるばばあが、そう簡単にくたばるもんか」
 子犬なんて呼ばれたことが相当悔しいのか、何時になく言葉使いが荒い。
「プレス、ばああなんて言っては駄目ですよ。グランマに知れたら百叩きですよ」
「……いやこの年でそれはない、……はず」
 否定しようとして、いやあり得るかもと思ったので、曖昧に語尾を濁した。
「そもそもこんなごつい男捕まえて子犬って、どんな感性してるんだ? あいつら目が可笑しいだろ?」
 プレスは間違っても優し気な外見ではないし、庇護欲を抱く程小柄でもない。スリムマッチョと言われることはあるが、ガリガリと言われることはないのだ。誰がどう見ても、ちょっとくたびれた感じの目付きの悪い男である。普通は子犬なんて連想しない。
「グランマは子供の頃のあなたを知っていますし。あ、そもそもミドルネームが」
「うわあああ。言うな」
 ガバッと両手で耳を塞ぎ、プレスはカレンを睨む。
「その名前は忘れろって!」
「でもテリア……」
「うがああ! 言うなって!」
 耳を塞いでいた手を離すと髪を掻き回し、プレスは唇を引き攣らせた。
[266] 2007/08/12/(Sun) 11:13:17

名前 MUTUMI
題名 223
内容  唸っていると、カラカラと笑うカレンの声が響いてきた。最初から最後迄しっかりと見ていたらしい。身体を二つに折る様にして爆笑している。
「やだもう、最高!」
 笑い過ぎて目尻に浮かんだ涙を、そう言ってカレンは人指し指で掬った。愛らしい口元は込み上げてくる笑い故か、ヒクヒクと引き攣っている。
「カレン!」
 ギロリとプレスが睨むが、彼女はどこ吹く風で全く取り合わなかった。
「子犬だって。こいぬー」
 プレスを指差しクスクスと笑い続ける。
「忙しい割に、きっちりとあなたをからかって帰るなんて、流石若林様!」
「どこが流石じゃ、こら!」
 ガウとばかりにプレスがカレンに噛み付く。カレンはそんなプレスの態度も面白いのか、ぶはっと吹き出した。
「お腹、よじれちゃう」
 笑いながら、ようやっとそれだけを告げる。
「おい」
 プレスが情けない顔をして、カレンを見つめる。カレンは暫く笑い続けていたが、数分後スイッチが切れたかの様に正常に戻った。
 笑い過ぎて赤くなった頬に両手を当てながら、情けない名称で呼ばれた雇い主に視線を当てる。
「グランマを思い出しますね。グランマも良くあなたを子犬ちゃんって呼んでました」
「……」
「懐かしいですね」
[265] 2007/08/09/(Thu) 22:42:17

名前 MUTUMI
題名 222
内容 「さてと。忙しいから今日はもう帰るね。貰う物も貰ったし」
 暇な時ならば小一時間程カレンと共にプレスを弄り倒す一矢だったが、今回は事情が事情なので、大人しく帰ることにした。プレスが満面の笑顔で応じる。
「おう、帰れ。帰れ」
 口調も声音もにこやかで、喜色満面だ。
「えっ。もう帰ってしまうんですか?」
 対して、カレンは酷く残念そうだ。カレンにとっての至福の一時、雇い主のプレスを一矢と共に弄り倒して遊ぶという、ストレスの発散が出来なくなったのだから無理もない。
 一矢は相反する二人の反応に吹き出しながら、席を立った。
「プレスをからかうのは、又の機会にしようね、カレン」
 人の悪い笑みを残し、座ったままのプレスの首に、背後から両手を回す。鬚(ひげ)の剃り痕の残る顎を掴み、上へと押し上げると、カックンとプレスの喉が90度仰け反り、顔が天井を向いた。天井のライトの眩しさに、反射的にプレスはスカイブルーの瞳を細める。
 何しやがる!とプレスが叫ぶよりも早く、一矢の顔が視界に入って来る。プレスを覗き込み、
「またね、子犬ちゃん」
 と囁く。
「なっ!?」
 その言葉に、プレスの顔が一気に赤くなった。
「誰が子犬だーーーーっ! おいこら、訂正しろ!」
 吠えると同時に、スルリと一矢の手が離れる。一矢に崩されていた体制をたて直し背後を振り返れば、丁度一矢の姿が霞の様に消えていく所だった。
「こら一矢!! 言い逃げするんじゃねえ!」
 真っ赤な顔をして叫ぶが、言い終わった時には、そこに最早一矢は居ない。
「?hぐぐ……」
 
[264] 2007/08/08/(Wed) 20:59:11

名前 MUTUMI
題名 221
内容  素っ気なく応じつつも、その声にはどこか気遣う雰囲気が含まれている。一矢とは関わり合いになりたくないプレスだったが、取り立てて嫌いという訳でもないのだ。紆余曲折色々あったが故に反発はするが、それなりに一矢の事は認めている。
 一矢がプレスをからかい倒さなければ、もっと普通の反応になっていたのかも知れないが、最早それを求めるのは酷というものだ。
「一矢」
「ん?」
 プレスに呼ばれた一矢が、デスクの方に身を乗り出す。
「現時点で俺が知ってるのは三つだ。一つ目、星間中央警察がディアーナ星で何かごそごそとガサ入れしてる。二つ目、お前んとこのセクト端末がクラッシュしてる。三つ目、リンケイジャーが入星したらしい。以上。で、どれを買ってくれるんだ?」
「二つ目と三つ目。特に三つ目を重点的によろしく」
「はいよ」
 返事を聞くなり、プレスはカード型の記憶媒体にデータを落とし始める。数秒ですべてが記憶媒体に落とし込まれ、それは一矢に手渡された。
「ほい」
「ありがとう」
「別に……大したものは入ってない。ああそれと金は、いつもの口座に振り込んどいてくれよ。ちなみに二本な」
「まけろと、言わないでおいてやるよ」
 クスクス笑いつつ、一矢は記憶媒体をポケットに仕舞った。プレスの言う一本は百万円のことなので、二本で二百万円になる。安いのか高いのか微妙な値段だ。
[263] 2007/08/07/(Tue) 21:37:22

名前 MUTUMI
題名 またもや
内容 19アップ。
あともう少しだ!

[261] 2007/08/06/(Mon) 17:20:05

名前 MUTUMI
題名
内容 20と21もアップ。
ようやく追いついた。

ので、再開です。
[262] 2007/08/07/(Tue) 21:00:33

名前 MUTUMI
題名 再び
内容 ディアーナの罠18アップ。
あと2テキストで掲示板に追いつく。
追いつく目処ができたら、再開します。

がんばろ。
[260] 2007/08/05/(Sun) 15:17:55

名前 MUTUMI
題名 お知らせ2
内容 HPの方にディアーナの罠16アップしました。
最後少しだけ変更と追加しました。

連載、もう少し休みます。
[258] 2007/05/20/(Sun) 20:41:33

名前 MUTUMI
題名 やっとだ……
内容 17もアップ。
追加しまくりました。元の形は既になし!
目を通した方が良いかも。(若干エリクソンの行動を変えています)
直すのに二ヶ月……。ごめん、色々反省してます。
まだ見てくれてる人いるのかな?と思いつつ。



反省。m(_ _)m

[259] 2007/08/04/(Sat) 16:18:11

名前 MUTUMI
題名 お知らせ
内容 再び、暫く連載休みます。
一週間ぐらい?かな?
[257] 2007/04/24/(Tue) 18:42:59

名前 MUTUMI
題名 220
内容 「プレスは誰から聞いたんだ?」
「俺? 色々な奴」
 プレスはわざと曖昧に返した。幾ら一矢に弱いとはいえ、情報源を教える程プレスも馬鹿ではない。
「……そう」
 教える気がないのを悟り、一矢も適当に返事を返した。そんな一矢にプレスは問いかける。
「なあよ」
「ん?」
「この噂さ、きな臭いぜ」
「……?」
 一矢は、端末を操作するプレスの真剣な横顔を伺った。
「流布し過ぎだ。誰かが、わざと流してるような気がする」
 所感でしかないがと断りつつ、プレスはなおも続けた。
「短期間に広まり過ぎなんだよ。普通はもっとこう、……金になりそうなぐらいヒソヒソと囁かれる類いの物だろう? どこか可笑しいんだよ」
 情報を扱うプレスだからこそ、気付いたことでもあった。一矢は腕を組み、真剣に考え込む。
(プレスがこんな事を言うなんて、異例だな。でも、検討する余地はある)
「狙いが見えないから、考え過ぎかなとは思うんだけど。なんつうか、こう……」
 言葉に出来ない違和感が、プレスにはあるらしい。一矢は黙って頷いた。
「覚えておくよ」
「ああ、そうしてくれ」
 
[256] 2007/04/17/(Tue) 21:53:34

名前 MUTUMI
題名 219
内容  吐息を一つ零すと、プレスは一矢の側にある大きな黒い机へと近付いて行った。机の上には様々な機器が設置されており、宇宙船中にあるサーバと接続されているようだ。
 プレスは恐らく手製だろう端末を素早く起動させると、必要なファイルを次々と呼び出し始めた。プレスの指が音楽を奏でているかの様に、激しく動く。
「なあ、ディアーナ星の情報が欲しいってのは、例のあの噂の件でか?」
 作業を続行しながらも、プレスは一矢に問いかけた。
「あの噂って?」
「生誕祭でテロが起きるって奴」
「……広まっているのか?」
「そこそこ。少なくともこっちの世界では有名だぞ」
「へえ」
 無関心を装いつつも、一矢はかなり動揺していた。極秘であるはずの情報が、オープンに共有されているとは思ってもみなかったからだ。
(なぜこれ程広まっているんだ?)
 ふと疑問が心に沸いた。
[255] 2007/04/17/(Tue) 17:15:30






Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板