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名前 |
MUTUMI
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題名 |
252 |
内容 |
「それはなんというか……」 御愁傷様ですと小声で付け加え、話を戻す。 「追跡出来るのはよくわかりましたが、一矢がやってくれるんですか?」 「えー、ヤダよ。苦手って言っただろう?」 「ではどうすると?」 「こういう時こそ、専門家の出番だと思わないか?」 「専門家?」 誰だろうと、ボブは桜花部隊内でそれが出来そうな人員を思い浮かべた。だがどれもこれもピンとは来ない。 「いるだろう? 暇なリンケイジャーで最強なの」 「誰です?」 「うち(フィフティーンャイルド)の長男。カトーバの艦長、キッズ・パーキンス」 その名を聞いてボブは目を見開いた。 「こういう時こそ義兄の出番だと思わないか?」 「そりゃあ彼はピッタリでしょうけど……」 同じ星間軍とはいえ部門も部署も全然違うのだ。そう簡単には協力体制にもっていけると思わない。 (幾ら何でも急過ぎて、無理なんじゃないか?) そもそも彼には担当すべき宇宙区域がある。重武装戦艦の艦長でもあるので、そうそう長く艦を留守には出来ないであろう。それを考えると、かなり難しい話だと思えた。 「協力してくれるでしょうか?」 不安気に聞き返せば、 「大丈夫、大丈夫。可愛い義弟の頼みを無下にするなんて、そんな鬼畜な事キッズはしないって。それに最近暇そうだし」 と、楽観的な返答が返って来た。 どこが可愛いんだとか、暇なのかよとか、突っ込み所は多々あるが、ボブはそれに敢えて目を瞑る。 「後で声をかけておくよ」 「お願いします」 一矢の言葉に同意を返し、ふと手の中のカード型の記憶媒体に視線を落とす。 (あ、忘れてた) ゴタゴタの末、ボブはその存在を思い出した。指先で摘み、一矢に視線を向ける。 「それで一矢、これには何が入ってるんですか?」 「さあ?」 一矢は可愛らしく小首を傾げた。 「見てみようか、彼らと」 (彼ら?) ボブが疑問に思う暇もなく、会議室の扉が開いた。視線を流すとロン・セイファード捜査官とヒューズ・ワルド捜査官が入って来る所だった。ボブは無意識に、記憶媒体を掌に握り込む。 「やあ、丁度良かった。一緒に見るかい?」 疲れ気味の二人に、一矢はそう声をかけた。二人は怪訝そうな顔で見返す。赤く充血した目がきょとんとしていた。 |
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[285] 2007/10/09/(Tue) 16:29:11 |
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