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名前 |
MUTUMI
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題名 |
132 |
内容 |
「今日は体調も良いしな」 嘯いて、残ったコードの先端を摘む。 「まあ見てろ。綺麗に潰してやるからよ」 手に持ったコードを首の後ろにまわし、男はそこに開いた小さな金属の穴に、端子を挿した。音もなくコードが数センチ沈み込む。痛みも苦痛も感じないのであろう、車椅子の男は平気な顔をしていた。ユラユラと手から離れたコードが、前後に振れる。 「俺はなネロ、嬉しいんだぜ。漸くあいつに復讐ができる。これ以上の喜びはない」 ぞっとする程低い声で、言葉が放たれる。歪んだ顔面の傷を一撫でし、男は口元を歪ませた。 「俺の目と足はあいつが奪って行った。今度はこっちが奪う番だ。なあよ、そう思うだろネロ?」 |
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[162] 2006/04/22/(Sat) 23:54:11 |
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