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連載小説『ディアーナの罠』

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名前 MUTUMI
題名 160
内容 「……わざわざそこに居たのは、罠の為か? でも何の為に?」
 何かが喉に引っかかった小骨の様に、気にかかる。けれどそれが何なのか、一矢にもはっきりとはしなかった。
(まあいい。そのうちはっきりするだろう)
 とりあえずそれを棚に上げて、一矢は現状の確認に勤(いそ)しんだ。
「他には?」
「一つ重要な物証があるにはあるのだが……、我々にはそれが何を意味するのかさっぱりわからない」
「物証ですか?」
「ああ」
 ロンはヒューズに視線を向ける。ヒューズは持っていた小ぶりのケースを開けると、中からビニールパックに入った何かを取り出した。
「これだ。わかるか?」
 右手で掴み、それを一矢達に見える様に掲げる。
[192] 2006/07/23/(Sun) 20:17:47

名前 MUTUMI
題名 159
内容 「テロは何も産まない。何も変えられない。そんなことわかりきっているのに、雨後のタケノコのごとく続発する。いい加減うんざりしますよね」
 一矢はぼやきに近い言葉を呟き、緩く首を振った。
「……まあ、僕の所感は置いておいて、話を戻します。逃走した犯人の遺留物から、何かわかった事はないのですか?」
「残念ながら特にはないな。指紋やDNAは検出されなかった」
「毛髪もないのですか?」
「ああ」
「……珍しいですね」
 どれほど気をつけていようと、髪の毛は遺留物として残り易い。それすらないということは……。
「リン捜査官達が踏み込んだ家屋に、犯人はそれほど長い間いた訳ではない、そう推論出来ますね、桜花」
 ボブは考え込みつつ呟いた。
[191] 2006/07/19/(Wed) 01:19:07

名前 MUTUMI
題名 訂正
内容 158訂正
致命的だった……。
[190] 2006/07/05/(Wed) 11:52:53

名前 MUTUMI
題名 158
内容  負傷したテリーやメイファーのことを慮(おもんばか)っているのだろう。
「狙撃者が居たという事は、罠だったと見てよいのですか?」
「……恐らくな」
 ヒューズは顎に手を当て考え込む。
「だが罠であったとしても、どうして俺達を嵌めたのかという疑問は残るが……」
 一矢とボブは視線を混じり合わせ、一矢は促すように微かに頷いた。ボブはそれに応え返し、口を開く。
「狙撃は一方向からでしたか?」
「ああ。全部西からで、狙撃時間もおおよそ連続している」
「では、単独犯ですね」
「複数犯ではないのか?」
「可能性は低いでしょう。複数居るのならば、最低二方向から狙いますから」
 整然と答え、
「リン捜査官が落下したビルを狙えるのは、ほんの数箇所です。それに加え、カロン捜査官をも狙撃できる場所となると、相当限られてくるはず。絞り込みましょうか?」
 最後の言葉は横に居る一矢に対してだ。一矢は静かに頷いた。
「頼む。狙撃者の技量が知りたい」
「かなり腕は良さそうに感じますが……」
 所見の印象をボブが告げると、一矢は困ったように腕を組んだ。
「僕もそう思うよ。でもさ、どのレベルなのかをはっきりさせておけば、警備上の安全ラインを割り出すのに使えるだろう? 最悪、式典当日までそいつはフリーだぞ。総代やら議員連中を狙撃し出す可能性もあるんだし。警備ゾーンだけでもはっきりさせたい」
「わかりました、至急かからせます」
 ボブは頷き、ロンを見やる。
「狙撃された時の情報を頂けますか?」
「それは構わないが……」
「何か?」
 言葉を濁すロンに、一矢が小首を傾げて問う。
「いや。……違うのだなと思ってな」
「は?」
「我々は容疑者を逮捕することだけを考えている。だが、君達は違う。君達は式典を守りたいのだな」
「……あなた達も最終的にはそう思っているでしょう? 変わらないですよ」
 首を振りつつ一矢は答え、幾分か寂しそうに笑った。
「テロなんてごめんですから」
「そうだな」
 ロンも苦笑を返しながら頷く。
[189] 2006/07/05/(Wed) 00:08:08

名前 MUTUMI
題名 157
内容  シェリー以外は全員男性だった。年齢もどちらかという皆近く、同じぐらいで、30代から40代だと思われる。全員が油断ならない目つきをしていた。
(生え抜きの捜査官達か……)
 一矢は面白そうに彼らを眺める。隣に座るボブも若干表情を改めていた。
「ハミルトンとカイ、裕斗とシェリーでペアを組んでいる。うちで最も優秀なコンビどもだ」
 へえと、一矢は四人を注視した。ヒューズの紹介に、裕斗とシェリーがなぜか照れている。こういったほめ言葉に、あまり慣れていないようだ。
 それに対しハミルトンとカイは、当然だとういう表情をしていた。こちらはかなりプライドが高いらしい。
「今回の捜査の中心メンバーは、ロンや俺を含めこの6人だ」
 ヒューズはそう言うと、手元の電子書類をボブのほうへと滑らせた。A4サイズの箱状の書類が机上を滑ってくる。ボブはそれを難なく受け止め、一矢に良く見える位置で開いた。
 自動的に入ったスイッチが電子ペーパー上に情報を表示する。それは、桜花部隊が提示した隠れ家や潜伏先と思われる一覧だった。
「見てわかるとおり、……全滅だ」
 一覧の全てに斜線が引かれている。
「ネロと思われる人物に行き着いたものもあるのだが……、まんまと逃げられた」
「……聞いています」
「メイファから聞いたか?」
「ええ」
 一矢は苦笑と共に頷き、ヒューズを見る。
「狙撃者もいたとか」
「ああ」
 ヒューズの表情が沈み込む。
[188] 2006/07/03/(Mon) 15:29:57

名前 MUTUMI
題名 156
内容 「容疑者ネロ・ストークの潜伏先の割り出しについては、あなた達から助言を受けたいと思います。僕らには、犯罪者が好む場所や行動についての専門的な知識がありません。どういった方向で探せばいいのか、何らかの指標を出してください」
 一矢はロンを静かに見つめる。
「専門家の意見は尊重しますよ」
 微笑みながら告げると、ロンは少し安堵したのか、深刻そうな表情を消した。とりあえず、はじかれる事はないと理解したらしい。
「……その点も含めて、我々の状況を説明させます。ヒューズ」
 ロンは隣に座っていた男に声をかけた。長い髪を背中で束ね、ブツブツと無精髭を生やした男だった。一矢とボブが、ここで最初に出会った捜査官だ。
「さっきはどうも。現状の説明の前に、簡単にこっちの紹介をしておく。俺はヒューズ・ワルド。で、順番にハミルトン・サシュ、カイ・オーエン、裕斗・コバ、シェリー・スミスだ」
 ヒューズの言葉と同時に、右回りに順番に何らかのリアクションを捜査官達が返してきた。どうやら呼んだ順番に座っているらしい。
[187] 2006/07/01/(Sat) 23:10:24

名前 MUTUMI
題名 155
内容 (捜査能力を桜花部隊に見せ付けるどころか、これではまったく逆だ。……女史の期待にも応えられていない)
 出立前の上司との会話を思い出し、ロンは思わずうつむく。少しでもいい、自分達を送り出した上司の面目を保ちたいと思った。
(……このままでは終われない。いいや、終われるものか)
 ぎゅっと膝の上で両手に握り拳をつくる。そんな風に一人深刻に思いつめるロンを目にして、一矢は少々困ったような視線をボブに向けた。ボブはそれを察するが、何食わぬ顔で黙殺する。
(むう)
 唇を尖らせ、他の面々には気付かれないように、一矢はボブの足を机の下で蹴った。
(っつ!)
 痛みにボブが顔を歪める。何をするんだと視線を向ければ、小声で囁かれる。
「セイファード捜査官がなんだか思いつめてるみたいだぞ。フォローしとけよ」
「……そっちの担当です」
 応酬はごくごく短い。一矢は暫し考え込み、それもそうかと思い直すと口を開いた。
[186] 2006/06/29/(Thu) 23:55:23

名前 MUTUMI
題名 154
内容  だが星間軍では、その数は氷山の一角に過ぎないのだ。
(応援の規模が普通じゃない……)
 それがどういう意味を持つのか、ロンは怖気と共に悟った。闇の部隊と言われている桜花部隊が、本気で動き始めたということを。
(合同捜査のトップは俺だと言う。だがそれは……)
 ロンは眼前でニコニコと微笑む少年を見つめた。
(俺達が警察だから一歩引いた、理由はそれだけなのだろうな)
 なんとなくムッときた。力量を正当に評価されていないとも感じる。
(まあ今の所、馬鹿にされても仕方ないか。悉く失敗しているしな)
 自嘲的な笑いが唇に浮かぶ。ディアーナ星に来てから、何一つ先に進んでいない現状に、ロンは深い憂慮を覚えていた。心の底では、桜花部隊が参加することによって、事態が動き出す事さえ願っている。
[185] 2006/06/26/(Mon) 23:31:25

名前 MUTUMI
題名 153
内容 「現在我が部隊は、星間軍第133分隊に待機させてあります。あなた方との連携がとれ次第、逐次投入予定です。ディアーナ星に振り向けた総数は1200名。多いとは言いがたいですが、これ以上は割けないと思って下さい」
 淡々としたボブの声をじっと聞いていた捜査官達は、投入された人員の総数を聞いて、ポカンと口を開けた。
「1200名?」
「……なんだよその数は」
 ひそひそと互いに言葉を交わしあう。
「えっと、一応連隊をまるごと連れて来たんだけど。どう考えても人手は多い方がいいと思ったし。人捜しは人海戦術が基本だよ」
 フォローするように一矢が口を挟む。
「あ、あのなぁ……」
 そんな問題でその数を連れて来るのかと、ロンは頭を抱えた。
(あまりにも規模が違い過ぎる。……これだから星間軍は!)
 贅沢過ぎる人員に、ロンは再度溜め息を零す。1200人といえば、星間中央警察の職員の9分の1に相当する。警察ならば、それだけの人員が抜ければ、間違いなく機能麻痺に陥る。
[184] 2006/06/25/(Sun) 21:54:28

名前 MUTUMI
題名 152
内容  今回一矢は、表面上は甘々の人格を演じる。冷徹で容赦のない顔を隠して、ほんの少し優柔不断で正義感の強い、優しい少年を。ごくごく普通の子供の姿という奴だ。
 一矢の性格を知っている者なら、鳥肌を立てて嫌がって逃げ出すだろうが、幸か不幸か星間中央警察はまだ何も知らない。
「実務的なことは僕の隣にいる【02】が行います。僕よりもしっかりしているので、どんどん頼ってください」
(……一言多いぞ、一矢)
 心の中で文句を言って、ボブは口を開いた。
「【02】です。特殊戦略諜報部隊の副官をしております」
 その紹介に「ああ」と、なぜか全員が納得した。ボブはどこからどう見ても、そんな雰囲気を醸し出していたからだ。一矢の「指揮をとっています」という台詞よりは、遥かにまともだと思える。
[183] 2006/06/21/(Wed) 22:53:18






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