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連載小説『ディアーナの罠』

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名前 MUTUMI
題名 271
内容  ミン達が発見した公文書は、戦後直ぐに発令されたストーク連隊の構成記録だ。どこそこの星系出身者が何名だとか、どういった特殊技能を持つかとか、そんな事がおおまかに記されていた。
 その中から、彼らはとても気になる一文を見つけたのだ。リュカーン190名在籍という、味気ない文章を。
[310] 2009/06/25/(Thu) 23:47:04

名前 MUTUMI
題名 270
内容  喝を入れると、ミンは見ていた公文書を自分の端末機へと取り込んだ。
 先程から見ている物は、公文書館に保存されている電子書類だが、一般向けに公開はされていない。閲覧許可を持つ者のみが見れる代物だ。
 ミンと部下達はストーク連隊を調べる為に、リックとは行動を別にし、エネ星にある星間連合の公文書館を訪れていた。そこで半日余り、彼らはひたすら古い公文書を漁った。
 そしてとうとう見つけたのだ。ヒントとなる物を。
「なぜ虐殺が起こったのか……、腑に落ちなかったけど、そういう事だったのね」
 呟き、戦慄すら覚えながら、原本の電子書類を閉じる。
[307] 2008/09/02/(Tue) 23:07:30

名前 MUTUMI
題名 269
内容 「予想外な事態にびびるのはわかるけど……」
 チラリと一瞥を返し、ミンは冷ややかに告げる。
「そんなに怖いの? あんた達、ちゃんとソコに玉ついてる?」
 ミンの視線の先には、男達の下半身がある。
「うっ……」
「……や、その」
 何故か言い放った女性のミンよりも、部下達の方が赤面していた。
 性格は限りなく男勝りなミンだが、実は奮いつきたくなるような肉体美を持つ女性だ。そんな適齢期の美女にダイレクトに言われれば、男達も少々困る。
 普段からミンの行動は奔放だが、口はもっと奔放で質が悪かったりする。ある意味セクハラ大王だ。
 一番被害を受けているのは部下達だが、時々は一矢ですら被害を受ける。まあ一矢の場合、顔色も変えずに完全スルーなのだが。
「腹を括って、しゃんとしな」
[306] 2008/09/02/(Tue) 00:56:24

名前 MUTUMI
題名 268
内容 「いや……」
「そうは言いますが……」
 部下達は曖昧な表情をした。困惑しているような、驚いているような、怯えているような、そんな顔だ。
[305] 2008/08/29/(Fri) 01:00:55

名前 MUTUMI
題名 267
内容  ディアーナ星で一矢達が動きだしたその頃、『04』のコードネームを持つミンは困惑したまま首を傾げていた。
「ねえコレ……、どう報告したらいいと思う?」
 側に控える部下に、救いを求めるような眼差しを向けている。
「どうと言われても……」
「『04』の思うままに」
 投げかけられた部下の方も、何故か皆腰が引けてしまっている。事が事だけに触れたくないのだ。
「ちっ。役立たず」
 唇を尖らせ、ミンは部下達を詰(なじ)る。
[304] 2008/08/18/(Mon) 23:02:54

名前 MUTUMI
題名 266
内容 「今更お前に言って聞かせても詮無いが、桜花は策謀家だ。お前が見ていた報告書が偽物だと、何故思わないのか。お前が入ったそのバックドアが、偽装だとなぜ気付かないのか。リンケイジャーとしてお前は優秀だが、考えが浅い」
 血を流すエリクソンの死体に一瞥を投げ、ネロは踵を返した。
「桜花は間違いなくお前の存在に気付いている。愉快犯だと? はは、少しは可笑しいと思え。お前はまんまと嵌められた」
 ネロはエリクソンの死体を振り返らない。ただ前だけを見て、部屋のドアの開閉キーに触れる。
「……だからお前は、切り捨てられる」
 吐き捨てる様に告げ、ネロは死者の居る部屋を後にした。ホテルの廊下はひんやりとしていて、静かだった。
 スーツ姿のネロは何一つ疑われる事なく、オリベホテルの中を自由に移動する。その姿は殺人者ではなく、何処からどう見てもただのサラリーマンだった。
 誰も、ネロの異常性には気付かない。
[303] 2008/08/17/(Sun) 17:02:23

名前 MUTUMI
題名 265
内容  ネロは己の仕事に満足すると、ゆっくりとそれをエリクソンへと向けた。眼鏡の奥の瞳が細くなる。指先が引き金へと延び、銃口がエリクソンの胸部を捉える。
 カチ。
 微かな音が響いた。安全装置に引っかかった引き金は途中で止まり、それ以上進む事はなかった。
「……ああ、忘れていた」
 呟き、無表情で安全装置を外す。
「? どうした?」
 ネロの独り言を聞き咎めたのだろう、エリクソンが顔を向けてきた。
「いや、何でもない」
 銃口を向けたままネロは嘯き、何時もの口調で告げた。目の見えないエリクソンには、ネロが己へと向けるニードルガンは見えない。自分に殺意が向けられている事も気付かなかった。
「エリクソン」
「んあ?」
「ルキアノ様の指示は、本当に全部こなせたんだな?」
「ああ」
「漏れはないか?」
 ネロは再度尋ねる。エリクソンは鬱陶しそうに片手を振った。
「ねえよ」
「……そうか」
 返し言葉と同時に、ネロは再度引き金を引いた。今度は途中で止まる事もなく、底まで押し込まれる。銃口から細い複数の針が飛び出した。
 ザクザクザク。
 肉を断つ音が響く。
「かはっ」
 エリクソンの口から苦痛の声が漏れ、胸部が赤く染まった。
「な……」
 ヒューと細く息が漏れ、次の瞬間エリクソンは鼓動を止めた。ガクリと大きな身体が傾く。胸から流れる深紅の血が、床を斑に染め始める。
「悪く思うな。これもルキアノ様の指示だ」
 感情のこもらない声で告げると、ネロはニードルガンを脇のホルスターへと仕舞った。
[302] 2008/08/16/(Sat) 22:39:48

名前 MUTUMI
題名 264
内容 「リンケイジャーが噛んでいるとは思っていないのか?」
「ああ、字面からは見えん」
 エリクソンはネロの懸念を、あっさりといなした。
「そうか。それは一安心」
 カチャカチャとネロの手元で歪な物が出来上がって行く。鈍く金属の輝きを晒すそれは、もうほとんど出来上がっていた。
 カシャコン。
 最後の部品を押し込み、ネロはそれを右手に持つと、左手でポケットを探り、マッチ箱サイズのカートリッジを取り出した。その中には硬い金属の針が規則正しく納められている。ニードルガンの消耗部品、弾丸に相当する物だ。
 ネロはそれを右手に持つ物、組み立てたばかりのニードルガン本体の台座部へ差し込んだ。
 カチャ。
 針が装填された小さな音が響いた。
[301] 2008/06/02/(Mon) 00:26:30

名前 MUTUMI
題名 263
内容 「そうか。それは僥倖」
 ネロは満足気に呟いた。その合間にも、大きな手は机の上の部品を組み立てて行く。一部の迷いもなく、その動きは正確だった。
 クツクツと笑いを漏らしながら、エリクソンが状況を報告する。
「奴等の報告書によると、犯人は愉快犯らしい。どんなプロファイリングをしたんだか」
[300] 2008/05/31/(Sat) 18:58:32

名前 MUTUMI
題名 262
内容  ネロは片手を伸ばし、テーブル上に置いてあったパーツを手に取った。鈍く光るそれを、カチャカチャと組み立て始める。
「ルキアノ様の指示は、全てこなせたのか?」
「ああ勿論、終わってる」
 エリクソンは顔面の傷を引き攣らせ、ニイと笑った。
「抜かりはねえ」
「そうか」
 クルクルと円形の棒をネロは捩じ込む。
「奴等はまだアレに気付いてない」
「……判るのか?」
 訝し気なネロの言葉に、フフンと鼻を鳴らし、膝の上の端末を指先で叩く。
「俺が今何処に潜り込んでると思ってる?」
 曰くありげなその言葉にネロは悟った。
「バックドアを潜ったか?」
「正解! 十分程前に星間連合のセクト端末が復旧した。せっかくだから覗いてるんだが、疑いもしてねえ」
[299] 2008/05/28/(Wed) 23:49:14






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