『裏切られた台湾』の日本語訳書が同時代社から発行されました。原著者は、戦前台北高校・台北高商・台北一中で英語教師をしていた米国人のジョージ・H・カー先生。カー先生は戦争勃発前に帰国し、戦時中は米軍の情報士官、終戦直後に台北で米国の副領事として勤務し、台湾の事情を台湾専門情報官の目で、事細かに観察し、本国にアドバイスしましたが、蒋介石政権に阻まれ、また当時の米国政府にも疎まれて退職、米国大学の研究者と成りましたが、持ち前の正義感から、国民政府に抑圧された台湾人を見過ごすことが出来ず、1965年にこの本を発行しました。それが40年を経て初めて日本語に訳されたのです。終戦直後の2.28事件にいたる経緯など、米国外交官のみた状況が赤裸々に叙述されたカー先生“怒りの書”です。
訳者は台北高校出身で現在米国ワシントン大学名誉教授の蕭成美さん。日本語監修者も台北高校出身で、元NHK経営主幹、現昭和女子大監事の川平朝清さん。
当時の台湾人も日本人も知らなかった事実が満載されていますので、関心のある方はぜひともご一読をお勧めします。A5判上製本。約600ページ。定価は本体4000円です。