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[7514] グリベックがスイッチを切る可能性 ひさこ - 2015/03/30(月) 16:39 -

小腸にできたGISTを切除し1年ほどたった者です。手術後、ハイリスクのためグリベックを服用
しております。このグリベックは再発防止のためと、腫瘍の増殖のスイッチを切る可能性があると説明されております。幸い今のところ再発はないのですが、スイッチが切れてこのまま逃げ切れることもあるのでしょうか?人により状況により違いはあるとは存じますが、スイッチが切れたという例があるのか教えてください。

[7515] 私も同じ一年生 hiro-ma - 2015/03/31(火) 22:40 -

私は2013年の12月に手術しました。同じく小腸原発で、ハイリスクの為、グリベック服用してます。
『増殖のスイッチが切れる』と明確に報告された文献等は私は読んだことがないですが、少なくともこうした分子標的薬の効果を示した文献、報告は目にしており、私は可能な限り服用を継続したいと考えている一人です。勿論、経済的な問題や副作用の問題、耐性の問題などで継続が困難となるケースもあるかと思います。
素人の考えですが、グリベックの作用機序からすると、スイッチが切れるというよりも、腫瘍細胞の増殖力が抑え込まれ、結果的に再発や転移の可能性が大きく低減している状態にまでなってくるのではないかと思ってます。
GIST仲間(いや、失礼、諸先輩方)の中にはグリベックを飲み続けてかなり長期になる方もいらっしゃいます。ひょっとすると皆さんはもうスイッチが切れているのかもしれませんね。
第一は初回摘出時の腫瘍の状態や手術自体の状況にもよるのかと思いますが、服用の効果は高いのであれば、そのスイッチを完全に切れたかどうかは別として、私は続けられない理由またはより効果の高い方法ができるまで続けるのが良いと思っています。
答えにはなっていないかと思いますが、参考になればと思い、書き込みさせてただきました。

[7516] ありがとうございます。 ひさこ - 2015/04/01(水) 07:20 -

hiro-maさま、大変ご丁寧な返信いただきましてありがとうございます。グリベックは大変優れたお薬であると聞いております。長期にわたり続けられるのが良さそうですね。現在のところ副作用というと手足が攣りやすくなる程度ですので結果をあせらずつづけていきたいと思います。本当にありがとうございました。

[7517] グリベックの耐性 Sunny北加 - 2015/04/03(金) 10:01 -

グリベックの耐性

いままで読んだ文献またポストからグリベック耐性をまとめてみました。私一患者としてコメントを( )内に書きました。

統計的にグリベック耐性は服用2年後に起こると言われています。8−7人に一人ほどの率で耐性が起きず長年グリベック効果が持続する患者さんがいると読んでいます。
(的確な統計は見ていませんが、服用2年後の耐性は過去の案外重症患者さん対象の数値で最近はもっと長くなっていると思います。私の再発した単体食道GISTは転移がなく、服用10年にてラッキーにCTでもMRIでも確認できなくなっています。)

GISTの異常細胞分裂の仕組みとグリベック効果

グリベック、その同類の薬の耐性がでる事を把握するにはGISTの異常細胞分裂の仕組を知ることが肝心です。
 
GISTになる原因のチロセンキナーゼ(Tyrosine Kinase)は細胞を被う細胞膜に突き刺さった多くある信号受容タンパク質のひとつです。別名c-kit、KIT, CD117、RTKとも呼ばれています。また同じような信号伝達受容体であるPDGFRA(Plated Driven Growth Factor α) の変異もまれですが5−8%の頻度でGISTの原因になります。このチロセンキナーゼの設計図は人間の場合染色体4にコードされています。この遺伝子変異の場所が下のLRGのサイトの最初の図で見えます。
https://liferaftgroup.org/mutations-and-mutation-testing/
(Exon変異場所の疾患率が横に書かれています。Exon9変異(頻度9.9%)は細胞膜−Membraneの外側になります。エクソン11(頻度60%)は膜近傍に位置しています。)

正常な場合、細胞の外部からシグナル伝達因子がチロセンキナーゼ受容体と結合し細胞内に「細胞分裂しろ」との信号伝達が始まります。この内部の細胞核への信号伝達を果たすにはチロセンキナーゼの一部(窪み)に細胞内に浮遊している化学分子、アデノシン三リン酸 、ATP(Adenosine Triphosphate) が付着する事によりATPからエネルギーを得て細胞内部への他のタンパク質物質の付着による信号伝達の連鎖、カスケードが起こります。この連鎖カスケードは複雑です。その一つは下で見られます。ここにはチロセンキナーゼ受容体はRTK(Receptor Tyrosine Kinase)と書かれています。
http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/fb/Signal_transduction_pathways.png

GIST腫瘍細胞はこのチロセンキナーゼの一部の変異により、細胞外からの命令なしに細胞内部で浮遊しているアデノシン三リン酸 、ATPがチロセンキナーゼの窪みにくっ付き、細胞内の核に「細胞分裂しろ」とのシグナルを伝達し続けることにより、秩序のない細胞分裂を促しGIST腫瘍になると言われています。グリベックはこのアデノシン三リン酸 、ATPがくっ付く場所に入り込み、この無秩序な細胞分裂を止めています。すなわちグリベック分子はこの窪みにくっ付き、ATPがくっ付く事を許さず、細胞分裂信号発信を防止して腫瘍増殖を抑えています。
(コメント:現実はもっと複雑だと思う。マイクロGISTはGISTと同じ変異をもっているが、1p以上は増殖しない。マイクロGISTは25−35%の人が持っていると交通事故後の解剖などで実証されている。マイクロGISTが悪性化する原因はまだ解っていない。)

グリベックの耐性がでる生物学的な機序は色々の説がある。それらは:

1.並列信号伝達: 
ガン化した細胞は増殖を繰り返し ’進化し’ チロセンキナーゼを通しての細胞分裂信号伝達経路がグリーベックでブロックされたので他の並列経路が活発化し、がん細胞の増殖になる。すなわち耐性になる。
(コメント:これはあくまでも説で実証されていないと思います。)

2.ガン細胞の不安定な増殖にて新変異をおこし抗癌薬が効かなくなる: 
ガン細胞の増殖は急速でクローンニング、即ち完全な同一細胞分裂の繰り返しでなくエラーが出やすくなる。クローンニング中にエラーをし、新しい変異をおこさせ、その新しい変異はグリベックが効かなく耐性になる。
(コメント:この説の可能性は低くないと思っています。普通の細胞分裂と違い、ガン化した細胞分裂は秩序のない分裂で、分裂中に間違いを起こしやすい。すなわちクローニングが非常に不安定だからだそうです。グリベック服用にて増殖を抑え、このクローンニング エラーを起こさないのが非常に大切だと思います。英語でDrug Complianceと呼ばれますが、毎日の服用が非常に重要です。私はGISTを尊敬し、しっかり服用し、横着をしないことだと思っています。)

3.耐性は既存の二次的な変異が原因: 
これは2年ほど前にGSI(GIST Support International) のハーバード大学Dana Farber病院のDr. Wagnerのヴィデオで知ったのですが、これは下でいまでも見られます。1時間ちょっとと長いです。
http://www.gistsupport.org/videosGSI2012/Wagner.html

彼は「イマチニブ耐性は新変異発生が原因ではない」と言っています。
一患者の耐性に関しての質問の答えに:
1. 単純なKit一種だけ変異がある腫瘍は増大し易く、グリベックが良く効くのが多い。
2. 複数のKit変異をもつ腫瘍は増大しにくく、増大度の高い変異Aが主に増殖し腫瘍が大きくなる。
3. グリベックは増大度の高い一般的な腫瘍変異Aの増殖を抑え、全体的な縮小を初期に示す。
4. その間、増殖度が低かった変異Bの腫瘍増殖は抑制されず、その増殖が顕著になり、全体的に増大となる。過去にはこの時点でグリベック耐性が出たと診断し服用を止め、新薬に切り替えている。
5. 新薬服用にて変異Bの腫瘍は抑制されるが、グリベックで抑えられていた比較的に活発な腫瘍Aの増殖抑制がされないか、弱く、増殖し、全体的に腫瘍が大きくなる。すなわち第二線薬の耐性が出た と判断された。
6. 新薬服用を停止し、グリベック再服用または増服にて再増殖した変異Aの縮小ができる。しかし変異Bは抑制できなくなった。
7. Jonathan Fletcher医などは多くの最初の腫瘍組織サンプルを詳しく調べ、少量であったが、すでにグリベックが効かない(耐性の)他の変異を多くの腫瘍組織で確認している。すなわちグリベック耐性GIST変異は服用以前から存在(pre−exist)し、グリベックが変異を起こした物でもなく、耐性を起こしたものでもない −と。
8. だから、腫瘍増大を体験し、他の薬に切り替えてもグリベック、スーテント服用続行が望ましい−と結論つけられた。最近は耐性体験後に2種の抗癌剤の服用にて良い効果を得ていると読んでいます。

(コメント:これは非常に納得できる説だ、いやそれ以上だと思います。原発腫瘍を解析し、少量だがもう二次的変異ゲノムを確認した と実証されています。
これは今日の日本の保険がGIST腫瘍ゲノム解析Exon11とExon9のみをカヴァーすると限定されているポリシーに盲点があると思います。私のゲノム検索は手術後10年過ぎてのテストでしたが、Exon11それも再発率最悪のコードン557‐558欠失でした。でもグリベック効果が良く、過去9ケ月は300rに減薬にし増殖を確認していません。)

耐性に直接的に関係はないでもないですが、Exon9の変異はグリベック1日400r服用では効果が薄く、欧米では800mg服用が常識になっています。小腸原発GISTはExon9の可能性が胃原発に比べ高く、予後が悪い原因にもなっています。

長くなりました。

[7519] 読ませていただきました ひさこ - 2015/04/06(月) 16:12 -

sunny北加様の文献読ませていただきました。

このような専門家の方の意見を読ませいただけて

光栄です。ただ、読めば読むほど私の症状は絶望

的ではないのかと不安になってしまいました。

私だけでは大変難しく主人と時間をかけ読んで

まいりました。再発は高リスクであっても腫瘍

が6センチほどだと40%ほどだと認識してまい

りましたが、こちらの資料だとほとんどが再発し

てしまうようですね。少々混乱しております。

しかしさらに何度か読ませていただき知識を深め

ていかなければならないと思っています。




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