トップページへ戻る
7103hit!
終わっていた街 2016年03月08日 (火) 00時03分
破壊巨人モノ
特に先の目星は立てず、見切り発車で空いた時間に書いていく予定です。
モライビ   5nice!
 
<2> 2016年03月08日 (火) 00時05分
この投稿を通報
 爆発音のようなもの凄い地響きだった。断続的ではないものの、すさまじい大きさの揺れに、まともに動くこともできない。昼寝をしていた僕は、目は覚ましても、身体を起こすことができず、じっと揺れが沈静化していくのを待っていた。僕が暮らしているのは小さいアパートで、他の部屋からも、驚き、怯え、ささやく声が、かすかに聞こえてくる。いつもは、壁が薄くて文句ばかり言っていたが、こういう時に孤独を感じにくいのはありがたいかもしれない。
 枕元近くに置いたテレビのリモコンに手を伸ばすが、どうやら停電してしまったようだ。近くに置いてあるスマホを持つと、僕はインターネットを開く。動画サイトに飛んでみると、やはり生で現状を撮影し配信している人がいるようだ。僕はその動画を見ようと、リンクに飛んだのだが、それはすぐに後悔へと変わる事になる。
 動揺と焦りか、配信者の発言は、まったく要領を得ることができなかったが、そんなものは映し出されている光景を見れば、誰だってそうならざるを得ない。何故なら、配信者の周囲は瓦礫の山と化していた。土埃が舞っているのか、画面はどこか白く濁って見える。地面には巨大なヒビが入り、画面に映る限り、周囲にあるのは、吹き飛び地に落ちて踏まれたビスケットのように砕けた、家、家、家……。電柱はひしゃげ、パチパチと電線が火花を上げている。さっきの凄まじい音といい、巨大な爆弾でも落ちたかのような光景だった。そして、これは案の定だ。この配信者は極力映さないようにしているが、崩れた建物の端々に潰れた死体が転がっている。建物の下だけとは限らない。配信者の歩く道にだって、白目を向いた人々の身体が、無残に散らばっていた。この配信者が生きているだけでも不思議なくらいだ。そして、僕は怖くなり、常日頃から用意しておいた防災道具を担いで、スマホを持ったままアパートを飛び出した。振り返ると、やはり建物にヒビは入っていた。軋む音まで聞こえる。僕は外から他の住民に、すぐさま建物から離れろと大声で呼びかけた。その後、青ざめた顔の住民達が、わたわたとアパートから出てきた。
 外に出て周囲を見渡すと、不自然な点に気づく。自分の住むアパートから遠く離れた場所。確かあの辺は住宅地だったはずだ。そしてその中心に、見たこともない黒く巨大なひとつの影がそびえていた。
「わあ! なんだあれ!」
 緊張で静まった周囲に、僕のスマホから、配信者の声が響く。動画に集中すると、無言で数人、僕の周囲に集まってきては、傍らからのぞき込む。全員が息を飲み、眉をひそめた。
「これは……足……!?」
 画面には確かに、つま先部分と靴紐のような黒い塊が映し出されていた。見ているものが信じられないというように、呼吸を激しくし、カメラが揺れる。乱れた画面と地面を蹴る音がなると、再び画面は黒い塊を映した。どうやら、後退したようだ。おかげで、それが何かわかる範囲まで、画面に収めることができている。そしてそれは、配信者が最初に言った通りだった。巨大な足だ。厳密に言えば軍隊が履くブーツのような靴。もちろん、普通の人間が履くようなサイズではない。
 その時、重く内臓にのしかかるような音が響いた。画面内からだ。映像は覆いかぶさっていた何かが取り払われたように、やや明るくなり、配信者はその音の鳴る方向――今しがた見つけた巨大な足の続く場所を映していった。
 僕達は愕然とした。それは配信者も同じで、手元の揺れが大きくなる。僕だって、このスマホを落としてしまいそうだったが、隣でのぞき込んでいた人が、なんとか僕の腕を支えてくれた。それでも、その人だって、かなり動揺を隠せないでいる。顔は汗でびっしょりだ。まあ、それはこの人だけに限らないが。
 映し出されていたのは、黒いタンクトップを着た、巨大な人間の姿だ。高い場所から着地した後のようにかがめていた身体を、ゆっくり起こしている最中だった。重く響く音は、この巨人が動く音に違いない。迷彩柄のズボンを履き、タンクトップはぴったりと身体に張り付いている。胸の筋肉は巨大な山を作り、腹筋は浮き出て、汗でタンクトップを湿らせていた。伸びた二本の腕は、岩を連ねたように太い。映像の目線が低くなった。「あ……あ……」と漏れる声。どうやら、腰を抜かしたらしい。僕は恐る恐る首を動かし、さきほど見た、黒い影へと目をやった。さきほどよりも、縦に伸びていた。この身を持ち上げた巨人のように。
「あー! 結構足痺れたなぁ! しかも、面白いくらいに、周りが更地になってやがる!」
 ものすごい音量だ。しかも、これは画面外からも、しっかりと聞き取れた。
「なんだよ、周りの小人の奴等、だいたい死んでるじゃねぇかよ。まあ、この登場がやりたかったんだから、仕方ないか。……それに」
 画面内の巨人が、この配信者の方に身体を少し向けた。画面が乱れ、必死に立ち上がろうとしているのがわかる。それでも、決してカメラを落とさないのは、もはやジャーナリスト魂に近しいものなのかわからないが、今となってはどこか哀れだ。見ている身として、そんなことを言える立場ではないが、一刻も早くカメラなど捨てて逃げ出して欲しかった。
 画面一杯に巨大な腕が伸びてくると、配信者のいる地面ごとすくい上げたようで、みるみる視界が上昇していく。近くで見ると、浅黒い肌に汗がしたたり、筋肉の山を輝かせ、際立たせている。そして、カメラは巨人の顔の前で止まった。画面に入りきらないほど巨大な男の顔。もみあげから顎にかけて、髭がおおい、荒々しさを際立たせている。鋭い目と、それに深みを与えているシワ。太い眉。年齢としては、四十代前後といったあたりだろうか? 男の目はぎょろぎょろと動き、配信者を見定めている。そして、カメラに気づくと、口角を持ち上げた。巨人とカメラの目があった瞬間、僕の隣にいた一人が気絶していた。他の人達も、見なかったことにでもするように――そして、恐らくこれから起こる悲劇から目を逸らすように、僕の周りから離れていった。しかし、僕だけは画面に釘付けだった。怖くて怖くてたまらない。手だって、足だって震えて、立っているのもやっとだ。だけど――だけど、僕はこの巨人をカッコいいと思ってしまっていた。
「もしかして、こいつで生放送みたいのしてんのかぁ? だったらちょうどいい。今からおまえらがどうなるか、その一例を見せてやるよ」
 巨人は恐ろしい笑みを見せると、巨大な口が迫ってきた。もはや、言葉にもできていない、配信者の悲痛な絶叫がこだまし、僕も顔をしかめる。しかし、目を逸らせなかった。
 とうとうカメラは配信者の手から放り出され、薄暗く涎がつたう赤い肉壁を映すだけになる。配信者と一緒にすくいあげた、コンクリートの地面を砕く音がする。画面にはちらちらと、配信者が舌で転がされているところが映り、全て見れないのが、どこかもどかしい。やがて、配信者は声を出す気力さえも失くし、その瞬間、歯と歯が重なる鋭い音が響いた。画面に、擦り千切れた人間の一部が流れてきては、そのまま薄暗い喉の奥へと、カメラもろとも落ちていった。ぽちゃんと液体に落ちる音とともに映像は消えた。
モライビ   20nice!
<3> 応援してます(*´ω`*) 2016年03月08日 (火) 02時03分
この投稿を通報
こういうギガサイズでリアル系なのは最近見なかったのでありがたいですw
これからもがんばってくださいw
はたはた   1nice!
<4> Re:終わっていた街 2016年05月31日 (火) 00時51分
この投稿を通報
遅くなりましたが、はたはたさん、コメントありがとうございます。
物語とはいえ、リアルに巨人が実際に街に現れたらと、小人の反応からしても考えるのは楽しいです。

ただ、今作、ジリジリと相変わらずの鈍足ペースで書き進めていたにはいたのですが、そんなさなかに、熊本での、あの出来事……。
私自身が被災したわけではないですが、創作と割り切っても、街破壊モノを書くという事になんだか筆が進まず、ここでの更新を止めてしまうという結果にしてしまいました。

でも、続きが書きたいとは思っていますので、いつか載せられたらなあとは思っております。

ちなみに、その間、他のお話を作ってはいました。
まだ完結してないですが、しばらくはそちらの方で、お暇を潰せたらなとも思います。
モライビ   1nice!
<5> 終わっていた街2 2016年08月22日 (月) 22時45分
この投稿を通報
 小人をひとりたいらげた。当然のように腹になんか全然たまんねぇ。むしろ、小さすぎて、喰ったのかどうかも怪しいくらいだ。一緒に頬張った、コンクリートのほうが、まだ食べたという感覚がある。無味で妙に埃臭い味と、ざらざらした舌触り。正直まったくうまくなかった。そもそも小人だけを掴むという加減がわからない。こういう事は初めてだ。たぶん、普通に小人だけをすくおうとしていたら、そのまま指で潰していた。それもそれで、自身の圧倒さに酔いしれられるかもしれないが、本当の目的はそうじゃないだろうに。飯だ、飯。俺は飯を――肉を喰いたい。肉だ、小人の肉。そのために俺は、この場所にやってきたのだ。それに喰う直前の、あいつの表情……あれはたまらなかった。もっと、アレが見たい。もっと、こいつらを恐怖に陥れてやりたい。なに、心配はいらないさ。餌はまだ十分に残っている。
 さすがに俺の着地した周囲は、何もかもが吹き飛び、小人の気配など感じられない。しかし、遠くを見渡せば、建物が密集した場所は確かにあった。揺れも相当だったみたいで、中には崩れ、今に崩壊寸前なんて建物もある。まあ、あの辺に行けば、避難している小人共にありつけるだろう。何人かは死んでいるだろうが、俺から見れば、ほんの端数だ。
 俺は足を浮かせ、目の前の地面を踏みしめた。なんてことのない、ただの歩くという行為だ。しかし、ほんのこれだけのことで、この世界の地面はひび割れ、世界は振動し、遠くの方で、またひとつ建物が壊れた。なんて脆すぎる世界で生きているんだ、コイツらは。腹の底から、笑いがこみあげてくる。そういえば、さっき喰った小人は、もう消化されたんだろうか。俺は腹をさすり、耐え切れず、笑い声を解放した。本当に、ちっぽけで、惨めで、哀れなこの世界に。

「あーはっはっはっは! はーはっはっはっはっ!」

 まさに、魔王降臨と言ったところか。
 世界を征服しにやってきた魔王。その圧倒的な力で、どんなモノも根絶やしにする。おまけに、勇者なんて都合の良い存在はいねぇ。そういう風にできてたんだ。最初から、この場所はな。
 俺は大袈裟に足を振り下ろし、遠くの小人共のおののく姿を想像しては、それを奴等に現実として突きつける瞬間を待ち侘びていた。どこか、どこかに大量に小人は集まっていないか? 俺は首を動かし、あたりを見回す。そして、ある場所に目が止まった。
広い敷地に、3つほどの建物が、大きく地面を囲うように連なっている。縦にも横にも細長い建物がふたつ。ひとつはどうもボロっちいようで、すでに半壊していた。残るひとつは、高さはそこまでではないものの、広い面積でその敷地を三分の一くらいは埋めているんじゃないだろうか? 囲われた地面と合わせ、運動するのに丁度良さそうだ。なるほど、こいつは学校というわけだ。
俺は舌なめずりをした。俺が歩くことで断続的に揺れを起こす。まだ避難しきれていない奴等が結構いるようだ。現に校庭となっている広い地面には、小人共がいびつな列を作りながら集まっているのが見える。日頃の避難訓練の賜物と言ったところか。こんな明らかにイレギュラーな状況でさえ、妙な規律に縛られて、気持ちが悪いとさえ思う。しかし、これならオヤツになりそうだ。前菜と言ってもいい。俺は建物が完全に崩れぬよう、少しだけ静かに歩き、学校へと距離を詰めた。
 何匹かの小人が俺に近づいてくる俺に気づき、ピーピー騒いでいる。混乱の波は次第に大きくなり、列は崩れ、蜘蛛の子を散らすように小人共は校舎の外を目指していた。まったく行動がおせぇんだよ。まあ、俺を前にしちゃ何が正しいとかはないけどな。ともかく、逃がしてやるものか。俺は校門付近に拳を振り下ろした。

バゴオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

打ち付けた場所はあっという間にクレーターのような溝を作り、揺れで多くの小人が転倒しわめいている。ゆっくりと拳を持ち上げた。さすがに何匹かは潰してしまったようだ。赤い塊が穴の底にへばりついていた。そして俺の拳にも。俺は拳のそれを、丁寧に舐めとった。

「さて、もうわかっただろ? 逃げようとか考えんじゃねぇぞ。さもないと、ゴミ同然の薄汚れた塊になるぜ」

 俺は校舎の反対側を囲うよう着座した。ケツの下でミシミシと建物が潰れていく感触がある。こそばゆくて、なかなかに気持ちいいじゃないか。完全に腰を下ろすと、まじまじと小人共に目をやる。さっきよりも奴等の顔がよく見える。どいつもこいつも幼ねぇ。青ざめ、震え、泣き喚き、腰を抜かしたふぬけばかりだ。
しかし、そんな中に一人、震える足を気力で引きずりながら、俺の前に向かっている奴がいた。白髪混じりの頭に、少々恰幅のいいジジイだ。おそらく、この学校の校長だろう。そいつは歯を震わせながら、たどたどしく何かを話そうとしている。しかし、声もまともに発せず、全然聞こえねぇ。俺は腕を伸ばし、注意深く、そのジジイをつまみあげてみた。小人の来ている服をつまむ感じだと丁度いいか。結果、殺さず、顔のとこまで持ち上げることに成功した。それでも、この校長は顔を歪めて悲痛なうめき声をあげている。骨を少しばかりは折ってしまったらしい。

「何が言いたいんだ? はっきりしてくんなきゃ聞こえねぇよ」

 ジジイの顔が突風を受けたみたいに、ひきつった。俺は少しだけ猶予をやる。何もしゃべらず見ていると、ジジイはなんとか口を開いた。
「どうか……どうか、お願いします……子供達だけは……どうか、どうか……」
 あー、なるほどなるほど。納得した。しかし、こんな状況でも、自分の学校の生徒達を一番に気遣い、そして俺へと対話を求めるなんて、なかなかの根性じゃねぇか。俺は笑顔を浮かべ、こくこくと頷いた。その時の校長の安堵の顔といったら。よほど、良い教師だったんだろうな。だが……。

「それは、おまえたち大人はどうなってもいいってことか?」

 こいつの言う事は、そういうことになる。一瞬緩んだ校長の顔はみるみる青ざめ、全身が震えだした。しかし、ここで訂正や救済を請うほど、落ちぶれてもいないようだ。ジジイは、息をのむとゆっくり頷いた。まるでサビた機械を無理にでも動かしたような遅さだった。
 ジジイは目を閉じて動かない。冷汗だけが滝のように顔面を流れていった。俺は大きく口を開け、ジジイをその中へと運んでいく。擦れた吐息と歯の震える音ははっきりと聞こえた。
 俺はジジイの上半身だけ口内に入れると、ギロチンのような勢いで噛み切った。歯と歯が合わさる鋭利な音に、下の小人共から悲鳴も聞こえている。離れた下半身は、あっけなく地面に落ち、潰れてしまった。さっきまで動いていたとは考えたくもない、その無残な肉の塊に、小人共の恐怖はピークに達したようだ。気を失う奴に、失禁する奴、理不尽に叫び暴れている奴と、集団教育もこの現状じゃ、何の役にもたってねぇ。
 そんな様子を無様に思いつつも、俺はそこそこ楽しんでいた。恐怖の対象として見られる事が、これほど気持ち良いとは思わなかった。心の底をくすぐっていくような熱い感情が湧き上がってくる。癖になるような心地良さだ。
 俺は、口の中でジジイの身体を転がしながら、血の味に舌鼓を打つ。あまり口を開けて咀嚼するのは良くないが、ぐちゃぐちゃくちゃくちゃと、血のついた歯を小人共に見せつけながら、ジジイの身体を噛み砕いた。もはや、この死体に人間の原型などはない。俺は肉を味わい、喉を鳴らして、短い食事に終わりを告げる。もちろん、まだまだ喰い足りないがな。

「おい、ガキンチョ共! さっきの校長のジジイか? アイツが最期に俺になんて言ったかわかるか?」

 俺の食事を前に、恐怖に震えるだけだったガキ共は、突然の呼びかけに、一層身体を震わせる。醜い魚のように口をぱくぱくさせている奴等もいて、到底質問に答えられるような状態ではなかった。

「は! こんな無能共教育して何になるのかね。まあいい、優しい俺が教えてやるよ。あのジジイはなあ、子供達だけは助けてって言ったんだ」

 ガキ共を取り巻く空気が変わったのがわかる。希望を抱いたように、何人かが、ざわざわと周囲を見渡し始めた。その視線はある一点を見つめたまま、動く事がなくなる。なかなか察しの良い奴もいるようだな。

「大人はどうなってもいい……。さっき、俺もそんなこと言ったよなぁ……。まさか、聞こえなかったなんて言わせねぇぞ」

 何人かのガキが先ほどまで見つめていた場所まで歩き出す。
 大人の――教員達が並んでいる場へ歩き出す。

「そうだ! そのメシをとっとと俺の前に持ってこい!」

 俺により明確な命令が下された瞬間、ガキ共は一斉に教員めがけて狂気の雄叫びをあげながら走り出す。数の多さには大の大人も歯が立たず、ガキ共に捕らえら、俺の前に差し出されるのに、そう時間はかからなかった。
 差し出された大人は十数人程度。どいつも、逃げ場のない絶望に、すでに表情からは生気が抜け落ちたようだった。俺は両手を擦り合わせ、ゆっくりと小人共の前に差し出してやる。

「よくやったな。さあ、そいつらをこの手の上に早く乗せろ」

 俺が言い終わるのを待たずにして、ガキ共が後方から波のように押し寄せ、大人達を俺の手の上へと追いやった。乗せられた小人共は見事に大人だけ。実に哀れだ。俺はその手を口の近くに持ち上げた。

「教え子に裏切られ、可哀相な奴等だな。どんな大切な事を教えようが、ガキ共の自分の命の前には――この世界の中では全部無意味だったようだぜ。安心しろ。痛い思いはさせず、ゆっくり腹の中で消化してやるからよ」

 俺は大人達めがけて、ゆっくりと舌を伸ばす。未来が掻き消え、死を待つしかない、無様な表情。ぐつぐつと俺の中の感情が高ぶってくる。じっくりと、一人一人の感触を楽しむように、舌を這わせ、大人共を舐めとっていった。舌から感じる旨味に、もがくようにくすぐってくる感触。全てを舌に取り込んだ俺は、ゆっくり口の中へとそれを仕舞い込んだ。
 口の中でうごめく小人の感覚を楽しみながら、何度も何度も舌で転がし食事の時間を思う存分楽しんでいく。充分に味わい尽くしたところで、喉の奥へと少しづつ落としてやった。喉を上下させ、その度に快感のうめき声がついつい漏れる。やがて、俺の口の中は空っぽになってしまった。
 ふとガキ共を見ると、ちらほらと安堵したような表情が見える。俺がジジイを喰った時はあんなに怯えていたというのに。ドス汚くて、いやしい奴等だ。そんな奴等には、ここが学校という場としても、指導という名のお仕置きが必要だな。

「おい、お前達、何か勘違いしてないか?」

 俺が振りかけた言葉に、一瞬にして空気が重くなっていく。思いあがらせるのも一瞬。恐怖に陥れるのも一瞬。ほんとこの場所は俺こそが全てであり、これほど面白いことはない。

「俺は別にジジイと約束を結んだわけじゃねぇ。それに、どちらにしろアイツの血と肉はもう俺の一部になっているんだしな。どうしようと俺の勝手だ」

 俺はゆっくり腰を持ち上げ立ち上がる。巨大な影がはるか遠くまでガキ共を覆いつくし、まさにこいつらの先にある未来そのもののようだった。ガキ共の集団は再び恐怖で喚き散らす。いい加減こいつらの態度もイライラしてきたところだ。まあ、こんな状態を前にしちゃ当然な事だがな。

「午後の授業って辛いよなぁ〜? なんてったって、すぐ眠くなっちまうもんなぁ〜」

 ゆっくり身体を傾けていく。ガキ共の悲鳴は大きくなり、やがて……

ズドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン

静かになった。学校全体が俺の身体に押し潰されて、地面が陥没していった。一体この胸や腹筋の下で、何人のガキが絶望の基に惨めな肉塊になっていったのか? 想像するだけで笑いがこみあげてくる。俺はゆっくり地面と身体を擦り合わせた。

「意地きたねぇガキ共を喰ったって腹下しそうだからなぁ。恨むなよ。その資格はねぇがな。どっちにしろ、お前達は遅かれ早かれこうなるのが運命だったんだよ。この世界に生まれた限りはな」

 俺はそのまま目を閉じる、別に寝るつもりがあるわけじゃねぇ。単なる食後の休憩時間だ。
モライビ   13nice!
<6> Re:終わっていた街 2016年08月23日 (火) 09時28分
この投稿を通報
一つひとつの描写が丁寧で、特に喰いのシーンに興奮しました!巨人の圧倒的パワーで人間達を更に支配してほしいと思います!
匿名巨望   0nice!
<7> Re:終わっていた街 2016年08月25日 (木) 12時09分
この投稿を通報
コメントありがとうございます!
自分は巨大男の喰い描写がとにかく好きなため、今作はとにかくその面をフォーカスして書いてみました。
この先も、そういう面が多く出てくると思いますが、お楽しみ頂けたら幸いです。
モライビ   1nice!
<8> 終わっていた街3 2016年11月27日 (日) 22時52分
この投稿を通報
 人が食べられるところを僕は見た。
自分達と同じ、生きている人間が、あんなにも簡単に消えていく光景は、当然のように初めてだ。
配信者の恐怖の声が耳から離れない。表情が見えなかったにも関わらず、僕の脳裏には恐怖でひきつり壊れたと言ってもいい哀れな顔が、鮮明に思い浮かんでくる。
あれから、正直あまり記憶がない。今の僕はただ座り込んでいる。
同じように恐怖で身を震わせている人に紛れ、僕はその中のただ一人でしかない。特別な能力も、皆を奮い立たせる先導力も、今の状況に立ち向かおうとする勇気さえなかった。
ただ、たえず揺れ動く地面に怯え、あの目撃した巨人の前では無意味としか言えない、避難場所である市民ホールに、じっとしている事しかできない。
あの映像を見てからというもの、僕の記憶は霧がかかったように、薄ぼんやりとしている。ここに来たのも、周囲の逃げる人達に混ざり、ただ流されてきたのだ。文字通り流されてきた。歩いた、もしくは走ったという認識はなかった。
非常事態の時はこのホールに避難する。この街に暮らして、それは幾度となく知らされていた事であり、地震や大停電の時には実際にこの屋根の下で夜を明かした。
 僕達にはただ避難する事しかできない。事態が自然と収まるのを待つことしかできない。ここに集まって恐怖に震えるしかできない。周りの人達もそれを十分承知で、どんなに今までとは違う――巨人の進撃という場面に出くわしても、それに適応した応用ができないのだ。
「最新の情報が入りました。ただいま、巨人は南溝倉町付近で横になり、寝息をたてているそうです。死者、行方不明者の具体的な人数はいまだ把握されておらず……さらにここで残念なお知らせをしなければなりません……。南倉町中学校は巨人の下敷きになり、生徒と教員の生存は絶望的だと思われます……」
避難所にラジオから聞こえる冷たい音声が響き渡る。それでもアナウンサーの声からは、なんとか平静を装い、情報だけを伝えるために感情を押し殺している、そんな気持ちが読み取れた。
その知らせと共に、嗚咽にも近い悲しみの声が、このホールに鳴り響いていく。擦れた声を漏らす者。赤ん坊のように泣く者。そして絶叫する人々……。
「どうして! どうして、智恵理が犠牲にならなきゃならないの!!!?」
巨人の下敷きになった学校の生徒の親なのだろう。身体を曲げ、床に顔をうずめては、しきりに言葉を吐き出している。
僕の両親は幼い頃に死んでおり、今この状況において、安否を確認したい存在は自分自身には思い当たらない。だが、それはひとつ救いのようにも思えた。子供の死に直面し、さらにこの非常事態で完全に心の折れてしまった人々がこう目の前にいると、残酷かもしれないが、少しは自身の境遇がマシに思えた。
「いまだ巨人に対し消失現象は発生しておらず、我々には早く平和な時間が戻ることを祈るしかありません。皆さま、非常時に備え、すぐに避難に移れるよう心がけてください! 私達も引き続き巨人の動向を……は、今巨人が動き出しました! 離れて! すぐに巨人から離れて!!」
そこでラジオからの音声は途絶えた。みしみしと建物が揺れ、地面が揺れる音と振動が身体全体に伝わってくる。
「また……またなの……」
「早く! なんであの巨人は消えねぇんだよ?!?」
確かに今回は何から何までおかしい。消失現象――あの巨人に対し今すぐに発動しなければならないはずだ。奴は何百、何千もの人々を殺している。街を破壊し、人々を恐怖に陥れている。「秩序を乱す者は強制的にこの世界から抹消される」。小さい頃から言われ続けてきたことだ。実際には目にしたことはないが、殺人、強盗、それらの犯罪者はすぐにでも世界から掻き消されていく。仕組みはわからない。でも、最初から法として決められていたことだ。消失が起きたことなどニュースで聞いたくらいだが、実際に見た人が言うには、それこそマジックのようにその場から消えてしまうらしい。だから僕らの世界には犯罪者への対抗の術が存在しない。今こうして再び巨人が動き出した現状においても、逃げては祈るしかできない……。
 大きくなる地響きに、ホール内はパニックになった。その場にいたほとんどの人々が出口へと駆け出し始める。一度ここへ避難したというのに、どこに行くというのだろうか。それは人に流され、同じく出口へ駆けている僕自身にもわからない。とにかくじっとしていたくなかった。全身で感じる揺れと音から、巨人がこのホールに近づいているのは、火を見るよりも明らかだからだ。

ズウウウウウウウウウゥウウゥゥウゥゥゥウン

大きな振動で僕はバランスを崩し、床へと身体を打ち付ける。見れば周りの人達も同じような状態になっていた。人の流れは止まり、誰もが顔を青ざめ、最悪の光景を想像する。
ぎしぎしとホールはうめき、コンクリートの屑が天井から降りかかってきた。僕はおそるおそる天井へと目を向ける。壁と天井の隙間からは空が見えていた。それは徐々に大きくなっていく。まるで初めからこのホールの天井は開閉式だったかのようだ。薄暗かった室内が空からの明かりで照らされ、だがすぐにドス黒い影で覆われることとなる。
僕達の見上げる空を占める存在。それはあの恐ろしい大男の顔だった。

「みーつけた」

 まただ。また身体が動かない。巨人はまるでクッキーの缶を開けたように、笑みを浮かべ、舌なめずりをしている。
 逃げなきゃ!逃げなきゃ! 逃げなきゃ! 何度気持ちを鼓舞しても、足が動かない。他の人達もよたよたと立ち上がろうとしては失敗し、絶叫の声やすすり泣く声をあげるばかりだ。

「さて、メインディッシュといきますか」

  巨人が両手を合わせるその風圧だけで、僕達は少し吹き飛んでしまう。身体を震わせながら、僕はなんとか身をひきずって外へ向かおうとした。巨大な手がホールの中へ迫ってくるのが目に入る。それでも歯を食いしばり、涙を浮かべながら必死に身を動かした。

「ぎゃああああああああ!!!」
「いやだぁぁぁぁああああ!!!」
「たすけ……! ひっ! たすけを!!!」

 悲鳴が一層大きくなり、咄嗟に僕は振り返る。見れば、巨人はまるで水面から水をすくい上げるように、両手いっぱいに人々を持ち上げていた。あと少し後ろにいれば、僕だって巻き込まれていたに違いない。手の甲で潰される人。ひきずられ地面に血の跡を残す人。両手に潰される人。まさに地獄絵図が広がっており、思わず僕はその場で吐いた。
 不幸にも巨人の手に収まってしまった人々。その人達が辿る運命を想像するのは容易だった。

「大量だなあ! これはいい腹の足しになりそうだ」

 上空から聞こえる阿鼻叫喚の渦に僕は顔をうずめた。人々の声はどんどん小さく、弱く、聞こえなくなっていき、反対に耳を塞ぎたくなるような残酷な擬音がこだましていく。
 骨を砕く音。肉を断つ音。それらが混ざりぐちゃぐちゃと、鼓膜にへばりついては離れない。
 身体を引きずることも気がつけば出来なくなっていた。目に見えなくても、頭の中に膨らんでいく残酷な光景に、僕は震えて泣くばかりだ。勇気を出して前に進もうと目を開けても、すぐに後悔へと変わることになる。自分の周りに広がっていたのは、巨人の手や口からこぼれ落ちて醜く潰れた人の死体。血の混ざった巨人の唾液が空から降り注ぎ、あたり一面を真っ赤に染めていた。

ぐげげげええっつっっっぷヴヴうううヴおおおお

 直後、大地を震わす勢いの爆音が空から降りかかる。同時に強引なまでに鼻の中に浸食してくる、かすかに血の臭いが混じった、すさまじい悪臭。僕は顔全体を手で覆い、身体をジタバタと動かした。その際仰向けになってしまったのは最悪の展開だ。うっすらと開けていく視界が、巨人の顔で覆われていく。巨人は僕達へゲップを吹きかけ、血だらけの口は笑みを浮かべていた。

「さてと。残さず食べなきゃもったいねぇよな」

 巨人の口から出る恐怖の言葉に、身体中を冷や汗が走る。なんとか身を動かそうと
するも、すでに身体の自由は効かず、周囲から鳴り響く爆音に、何が起こっているのか理解するのに、かなりの時間がかかった。
 見れば、周囲の壁が大きな手でどんどん取り払われていっている。数時間ぶりに目の当たりにする周囲の街の光景はひどいものだった。建物という建物は、どれもが原型を留めないほど崩れ、紙でできたジオラマを潰してしまったかのようだ。さらには、いたるところに、先に逃げ出したであろう人達が残した、血と肉が散乱している。
 その光景にショックを受けるのも束の間、身体が妙な感覚を覚え、僕は胸に手を当てて首を動かした。壊れた街の景色が下降していっている。状況を理解した時には、すでに手遅れだ。僕の視線の先には、巨人の厳つい顔が間近に迫っている。巨人の鋭い視線と目があった。ヤツは地面ごとこの建物を持ち上げたのだ。
 自分のいる市民ホールの床がゆっくり斜めになっていく。掴むところなんてなくても、手と足に力を込め、僕は必死に床にへばりついた。ふと視線を下に向けゾッとする。斜面の下には、開かれた大きな口が、僕達がそこに訪れるのを心待ちにしている。舌が不気味に動き、喉の奥は真っ暗で、だからこそ落ちていくことが恐ろしい。周りの生き残っていた人達も、抵抗虚しく、巨人の口内へと吸い込まれていってしまう。
 そして僕もその一人だった。
 手は行き場を失い、宙を仰ぐと、身体が風を切りながら巨人の口をめがけて落ちていく。
「嫌だ……! 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!」
 必死に泣き叫び身体をねじった。喰われるのだけは嫌だ! その他は何も考えられなかった。先ほどの人々の絶叫が。あの配信者の最期が。何度も何度も頭の中で繰り返し再生されていく。少しでも巨人の口から遠ざかりたい。避けたところで、地面に落ちて潰れるしかなかろうと、この大男に弄ばれ、栄養にされるよりはマシに思えた。

ガチン!

 喰われまいと無意味な抵抗をする僕の耳に飛び込んできたのは、巨人の歯と歯が合わさる鋭利な音、次に感じたのは、茂みのような場所に飛び込んだ感覚だった。
 足と腕が、無数にある黒いロープのようなものに絡まっている。そして籠ってはいるが、かすかに聞こえてくる、人々の泣き叫ぶ声と、肉や骨を噛み砕く音。無意識のままに、絡まったロープを強く掴み、なんとか冷静になろうと試みた。聞こえる悲鳴には目をつむり、必死に今の自分の状況だけを理解しようとした。
 この場所から見る景色は高い。この場所から世界を見下ろせば、人々は虫同然に見えるだろう。さっきまで自分の立っていた、破壊された街という現実が、この場所から見るだけで、作り物めいて見える。
 空っぽの頭を埋めていくように、今見た情景から、自分の状況が見通せてくる。
 巨人に喰われそうになった僕。それでも、こうして外の景色を見ている。歯と歯が合わさる音に、無数の黒いロープ。そうか、そういうことだったのか。
僕が巨人の口に入りきる前に、ヤツは幸運にも口を閉じたのだ。そして僕は巨人の顎髭に、これまた幸運にも身を預けることとなった。
なんとか繋ぎ止めた命だ。無駄にしてたまるものか。巨人の頬の筋肉が動き、振り落とされそうになりつつも、残った力を腕に集中し、僕は髭にしがみつく。この巨人の生やした髭は濃く、もみあげまで続いていたはずだ。
落ちないように。巨人に気づかれないように。頭の上をめがけて、僕は髭を登っていった。
モライビ   11nice!
<9> 終わっていた街4 2017年06月18日 (日) 23時33分
この投稿を通報
「……さ……す……」
 掻き消えそうなほど小さな声が聞こえる。だが、ここは小人共の街だ。何もおかしいことはない。
「……ま! そ……かん……。……を」
 今度はさっきより聞き取れるが、なに、運が良かった小人が耳元にこびりついただけだろう。俺は手で耳のあたりを軽く拭った。
「お客様……! そろそろお帰りの時間です!」
 いや、これは違う。この声は違う。それに周りの小人共にはどうやら聞こえていない様子だ。もちろん俺への恐怖に他の事に一切関心が向けられるような状況ではないと言うこともできるが、俺はこの声の正体を知っている。やや自分で言うのも気恥ずかしい表現になるが、これは俺の頭の中に直接響いている声だ。
 俺は深い溜息をつく。まだ下には食べ終えていない小人共がいるんだがな……。食い物を残すのは良くないが゛店の゛ルールを破る方も迷惑だろう。興奮もやや収まっていき、俺はこの世界で俺自身にだけ聞こえる声にこう答えた。
「ああ、聞こえてる。名残惜しいが、転移させてくれ」
「はい! ご利用ありがとうございました」
 身体が浮くような感覚の後、俺の視界は白く塗りつぶされていった。

「いやあ、お疲れ様です。お客様のガタイならそれはそれは大迫力だったでしょう!」
 目を開けると、俺は筒状の機械の中に立っていた。小さな街も家も人間もそこには存在しない。いるのは髪を綺麗にまとめたスーツ姿の痩せた男だけ。俺はこの男のことは知っている。だからといって重要人物だとか深い関わりがあるとかではなく、こいつはこの゛店゛の店員だ。さっきの声の主でもある。
「ご満足いただけましたでしょうか? なにはともあれタオルをどうぞ。身体中血だらけですよ? それで街を歩けば通報待ったなしです。この世界にはちゃんと警察だっているんですからね」
 男は営業スマイルを浮かべて濡れタオルを差し出した。俺は着ていたタンクトップを脱ぎ、身体を拭う。真っ白だったタオルは途端に真っ赤な色で染まっていった。
「どうします? シャワーも浴びていかれます?」
「いや、大丈夫だ。家も近いしな。香水だけ貸してくれ。ちょっと血生臭い」
「かしこまりました。ところで当店のご利用初めてだったようですがいかがでした? ご感想は我々の励みになりますんで……」

「ああ、最高だったな。小人もうまい。時間制限性じゃなければ文句はないんだが……」
「はは、そこはご勘弁を……。しかし、お客様は初めてとは思えないような暴れっぷりだったとお見受けします。結構中には直前で躊躇されてしまうような方も多いんですよ? お客様のような人を見ると、゛ただ喰われるだけの奴等゛に、豊かな生活を与えて本当に良かったと思えます。恵まれた食事に環境、そして幸せは、小人の血肉を一層良いものへと育ててくれますからね」
 俺は振り返り、今しがた自分が出てきた機械――転移装置を見る。SF映画に出てくるようなワープ装置で、その通りの効果を発揮する。この機械を使えば再び俺はあの街に飛ばされる。まあ、追加料金をせしめ取られるので、今日はしないがな。
「それでは先ほどご要望の物をご用意してきますので少々お待ちください。そして本日は当店のご利用誠にありがとうございました。スタッフ一同、お客様のまたのご来店をお待ちしております。あ、あとですが……」
 ここで男は一瞬不敵な笑みを浮かべた。だが、それは別に俺への敵意だとかそういうものではない。何故なら俺自身も先ほどあの街でこんな表情を浮かべていたはずだからだ。その意味ではコイツもまた一線を超えてしまっている。
「もし、街から生きた小人を連れてきてしまっていたら、どうぞ好きなように処理してくださいね。ご返却などは必要ありません。こっちで逃げたって先はないようなもの……。当店からのスーベニアサプライズという事で……」

 感情がまとまらない。
 全身の震えは止まらず、身を屈めて僕は言葉にならない声を漏らしていた。
 全身を脂っぽい汗にまみれ、周囲の無数の黒い棒状のモノに囲まれ、僕はそこから動く事ができない。
 あの巨人の捕食をぎりぎり回避した僕は、そのまま顔を登り、頭皮へと避難した。そこから先はどうしていいかわからない。ただ少しでも長い時間生きる事だけを考え、巨人の髪の中に身を潜めていた。だが、なんなんだ!? 突然白い光に飲まれたと思ったら、今しがた聞こえてきた会話。当店? ただ喰われるだけの奴等!? 自分の中で出かかっている想像を必死に否定し、いるかもわからない神に祈る。巨人の頭皮――汗と臭いにまみれながら、揺れる地面の反動と地響きの音に震え、「助けて……助けて……」となんとか言葉を吐きだした。

「ただいま」

と巨人の声が響いた。どうやらヤツの家へと来てしまったらしい。
 恐怖を飲み込み僕はなんとか頭を動かそうとする。先ほどの会話が真実ならば、この家から逃げ出したところで、おそらく周りは巨人だらけだ。それどころか何もかも巨大で、僕はすぐに地面の染みへと変わり果てるだろう。
 だとすれば室内に入り込めたのは運の悪い中ではまだ運の良い方だ。巨人が寝ころんだタイミングにでもここから抜け出し、安全地帯に身をゆだねなければならない。
 だがしかし、身をゆだねたところでどうなる? 食べ物があるわけでもない。助けが来るわけでもない。それどころか住んでいた街の正体は……口にするのも恐ろしい。ただ生きる事を考えても、死という結末を遠回しにしている事にしかならない。やっぱりあそこで死んでおけばよかった。そんな気持ちさえ湧きあがった。痛みを感じる暇もなく潰されるか……巨人の胃酸はどれほどだろうか。苦しまずに溶かしてくれるならばありがたい。
 希望もなく絶望も通り過ぎていた。地面がわずかに傾いていく。反射的に巨人の髪の毛に捕まった。ふと見れば先ほどまで立っていた頭皮が壁のようにそびえ立っている。僕は手を離した。落下したところでちっぽけな僕はすぐに多数の髪の毛に絡めとられてしまう。

 家に帰りベッドの上で横になる。全身をゆっくりと伸ばし、先ほどまでの食事と運動の疲れがわずかながら抜け落ちていく心地よさを感じていた。快感。しかし本当に楽しかった。普段から小人は喰っているが、だいたいがすでに加工されて死んでいる。命があった物と理解はしていても実感が湧くわけではない。それが今日みた景色で一変した。奴等はまるで俺達と同じように社会の中で生き、なにかを考え、そして絶望に沈んでいった。まったく巨人とは罪な生き物だ。心の底から笑えてくる。俺達巨人は小人の肉を喰わなければ栄養を摂取できない。そんな世界の仕組みはまるで残酷な童話のようだ。自分達をそのまま小さくさせたような奴等が主食なのだから。その現実から多くの奴が目を背け、「生き物」と「食べ物」を無意識に分け過ごしているが、少し向き合ってみると底知れぬ快感が待ち受けている。人としてどうかという問題はあるが、別に小人殺しが犯罪になるわけでもない。愛護団体だって存在しない。これはそういう娯楽でそういう世界だからだ。
 目をつむると先ほどの街の凄惨な光景が蘇ってくる。どいつもこいつも顔面を醜く歪め助けを請うていた。頭の中でそいつらを丁寧にぷちぷちと潰していく。女も子供も関係ない。奴等が騒げば騒ぐほど、潰し舐めとり噛み砕き飲み込む快感が強まっていく。気がつけば俺の股間が大きく盛り上がっていた。俺は自分の竿を強く握りそのまま抜いた。

 何度も何度も髪に絡まり落下して、とうとう身体はクッションのように柔らかい素材に包まれていた。巨人の頭から完全に落下し、地面へと着いたのだろう。いや、地面という言い方は間違えている。頭から垂直に落下したということは巨人が寝転がったということ。だとすれば、ここはベッドの上か何かだろう。ベッドでさえこの広さで、どこまで続いているのか先も見えない。僕はアテもなくフラフラと立ち上がっては歩みを進めた。それは死に場所を求めるようだった。
 その時、けたたましい轟音に僕は身を屈めた。振り返ると岩肌のような絶壁がゆっくり起き上がっている。あの巨人だ。僕の暮らしていた街をおもちゃのように破壊していった大巨人。もう僕はただ起き上がるその巨人を見ているだけになった。不思議な事だ。最初に映像で見た時も思ったが「かっこいいなぁ」という感情が頭を埋め尽くしていく。早く僕を見つけてくれないだろうか。そしてその大きな身体ですぐにでも僕を潰してほしい。
 巨人の関節が動くたびに轟音が鳴る。そしてヤツが首をひねったその瞬間、鋭く尖った巨人の視線と目が合った。ああ、やっと死ねるんだ……と深い息が漏れる、その時にはもう僕の周囲は黒く濃い影で閉ざされていた。
モライビ   11nice!
<10> 終わっていた街5 2017年06月24日 (土) 22時30分
この投稿を通報
 これは驚いた。まさか本当に生きた小人がついてくるとは思わなかった。着の身着のままで抜いてしまいどこか滅入った感情も、思いがけない遭遇に再び高揚を取り戻してくる。逃げられては困る。俺は咄嗟に腕を伸ばした。しかしここでヘタに潰すわけにもいかない。摘まむのだってさっき微妙に失敗した。せっかく来てくれたお客様なのだ。丁重に扱うとしよう。物の試しで、俺は静かに手の平を差し出してみた。
 するとこれも予想外だ。その小人はもたもたと俺の手の平に登り始めた。ベッドに手を沈め、少し傾け登りやすいようにしてやると、無事に小人は俺の手の平に収まった。
 小人は虚ろな目のままポカンと口を開けて動かない。まあ、仕方ないだろう。どういう経緯で俺の家まで至ったのかは知らないが、あの街の地獄を経験し(とはいってもその地獄を作りだしたのは俺自身だが)、恐らく元いた世界の実態に気づいている。もはや生きる気力を失くして当然だ。俺は何も喋らない小人を見つめながら自身の顎をさすった。さて、どうしてくれようかコイツは。ただ潰すのも味気ない。喰ったところで小人一人なんて腹の足しにもならない。だったら料理するか? それも選択外だ。そもそも小人を料理に使うなら数百体程度いるのが前提だ。
 とりあえず俺は手に乗せた小人を顔の近くまで運んだ。すると微かに「……して」囁いている。耳を澄ましてコイツの声をもう一度聞く。「殺して……」と囁いていた。

「そうか。まあ無理もないよな。察したんだろう? お前達のいた世界は俺達巨人に蹂躙され、そしてお前達自身は喰われるためだけに存在していたってな。まあ、いつもは知識も何も与えられずただ飼育され、原型留めず加工された小人肉を喰ってるんだがな。そんな中近頃変わった飯屋がオープンしたってわけだ。それがお前達のいた街の正体ってやつよ」

 小人のやつは静かに涙を流し始める。別に感傷的になりはしない。あくまでこの後の付き合いとして、これくらいは話しておかなくてはならない。

「怪獣映画とかはお前達の世界でもやってただろ? あれで破壊される街や殺される人間を見て昂る感情ってのは珍しくもない。だから、それを体験できるサービスとしてあの飯屋は現れた。小人と巨人なんて最高のモチーフじゃないか? そして提供するなら少なからずリアリティってのには拘らなくてはならない。だからこそ、あの街ではまるで普通の「人」であるかのように、お前達に教育が行われ、小人個人個人に社会と生活が存在する。まあ、小人同士で数減らされちゃ困るから、犯罪の取り締まりとかは店側で犯人をサクッと消しちゃってるみたいだがな」

 小人は身を屈めて滝のように涙を流す。しかし、声はそこまで上げていなかった。その様子を見て俺の中で熱い感情が湧きあがる。そうだな、そうしよう。俺は立ち上がり、近くのテーブルにそっと手を降ろす。小人はその様子にきょとんとしていたが、俺が顎でうながすとたどたどしくテーブルへと足を着いた。さらに冷蔵庫から適当に食べ物を持ってきてやる。野菜くらいならサイズはともかく食えるだろう。小人はますますわけがわからないという顔をしてみせる。俺が「喰っていいぞ」というと恐る恐るそれを齧りだし、一度食べるとよほど腹が空いてたのか、がっつき始めた。そうだそれでいい。

「良い食べっぷりだな。待ってろ、もっと腹にたまりそうなの買ってきてやる。せっかく俺の家までやってきてくれたんだ。お前の事は食べ物と思わず歓迎しよう。それじゃあ、俺が出かけてる間、ゆっくりと休んでるがいい」

 そう言い残して、俺は家を出た。さて、近所を一回りジョギングでもしてくるか
モライビ   6nice!
<11> :終わっていた街ラスト 2017年06月25日 (日) 15時35分
この投稿を通報
 生きている。自分は今生きている。その事実が信じられない。あの巨人に見つかった時点で終わったと思った自分の人生が、未だこうして続いている。ありがちな行為のように身体のあちこちをつねってみても、ただただ痛みが走るだけだ。おまけに食べ物まで与えられた。これはどういう事なのだろう。
 緊張から解きほぐされ、固まっていた脳をフル回転させる。あの巨人が言った事は恐ろしい事に事実だ。あの街の真相には店での会話を聞いた時点でなんとなく気づいていたが、今こうして揺るぎようのない真実として突きつけられた。もちろん否定したい。信じたくもない。嘘であってほしい。もしかすると巨人が僕を怖がらせるためについた嘘なのかもしれない。だが嘘にしても本当にしても、巨人が僕にその事を話せば、僕の選択肢から「あの街に戻りたい」という思考はなくなる。そして与えられたご飯……。巨人は僕を飼うつもりなのだろうか……?
 あの男の事は許せないし、街の事も小人が主食という事も何人も犠牲になった人を思っても、それを好意に切り替える事なんてできない。だが、僕の中には先ほどまで諦めかけていた希望が温かく光りはじめている。「生きたい」。それだけだ。たとえあの男の元でも、生きれるのであれば僕はもう何も求めない。幸運な事にあの街には最初から僕が安否を心配するような身寄りは存在しない。どこまでが作り物かはわからないし、記憶全ても最初から体験で得たものかは怪しいが、今はそれが何よりありがたかった。それに少なからず僕はあの男をカッコいいと思えたのだ。もしかしたら、ペットと飼い主としてそれはそれで幸せな生活が待っているのかもしれなかった。
 気持ちを整理し、とはいってもヤケクソ気味だが、急に眠気に襲われた。ここに至るまで緊張の連続だったのだ。身体のどこもが活動を拒否し、僕はうとうとと眠りについた。

 地面がわずかに上下する。そして蒸し暑い。身体中も湿っている。一体何時間くらい眠っていたのだろう。僕は目を覚まし身体を起こした。

「よう、起きたな?」

 だがその光景に愕然とする。僕が顔を上げると先ほどの巨人が全裸姿で腕を組んでそびえていた。いや、それ以上に問題なのは僕がいるその場所だ。僕は巨人のヘソのあたりで眠らされていた。立ち上がろうにも呼吸の度に足場が動いてどうもうまくいかない。

「い、いったい、なんなんですか?!」

 僕は叫んだ。だが、

「あーー? 何言ってるか聞こえねぇな! 用があるならここまで登ってきな!」

と返されてしまう。しかも巨人は自分の胸を指さしている。まさか、そこまでたどり着けというのか? そんな無茶な! ただでさえ足場が安定しないのに、しかもどれだけ距離があると思っている!? 巨人はやや上半身を傾けて寝転んでくれているものの、到底登りきれるものではない。

「ほら、のんびりしててもいいのか? ぶっ潰されちまうぜ!」

 そう言われ僕が上を見ると、巨人の握りこぶしが降ってこようとしていた。僕は慌てて手を動かし、身をひきずってその場から離れる。汗で湿った巨人の肌はなんとか僕の身体を滑りやすくしてくれていた。臭いと不快さはこの際どうでもいい。必死に身体を動かし、振り返ってみると、先ほどまで僕がいた場所には大きな拳があった。あのままいたら拳の下敷きだったに違いない。そうしてこの男が何をしたいのか僕はもう理解した。何が良好な関係だ! 何が生きていられればだ! そもそもそんな選択肢が僕にはあっても巨人にあるわけがない。それはもうあの終わった街で嫌というほど痛感したはずだ。たとえ姿形が同じだろうと、そこに意思や感情があろうと、この男にとっては僕達小人など生き物の枠から外れたおもちゃであり、食べ物だ! 家畜を喜んで殺しながら食べるか? 普通!? その時点であのレストランの存在もこの男の思考も完全に狂っているのだ。

「嫌だ……負けない……負けたくない……!」

 悔しさで唇を噛み、泣きながら僕は巨人の身体を登り始める。巨人の汗のせいで視界がよく見えない。だからこの男はさっき出かけたんだ! わざわざこの最悪な環境を作り出すために!
 何度も何度も巨人の拳や指が僕を目がけて降ってきた。その度にもがき転がり騒ぎながら、僕はそれらを回避していく。その度に巨人の不快な大笑いが鼓膜を破る勢いで耳に飛び込んでくる。もはや僕を動かしているのは恐怖でもなく怒りだった。

「ほう、なかなかやるなぁ。だったらこうしよう」

 巨人の腕が僕の後方へ伸びていくと、先ほどから威圧感を放っていたその特大の巨根を鷲掴んだ。すると何度も何度も腕を上下に激しく動かしだす。巨人の顔を見ると息を荒げながら僕を見ていた。僕の哀れなその姿で興奮していた。

「ほらよ! 早く逃げねぇとこいつの下敷きになるぜ!」

 みるみる巨人のソレが大きくなっていく。僕は慌ててその場から離れた。あれに潰されるのだけは嫌だ! しかし巨人の身体も激しく揺れるので立ち上がっては倒れてを繰り返すのがやっとだ。巨人の汗が口に何度も入り込む。喉が干からびそうになるほどの塩気と蒸れた身体が発する体臭を幾度となく吸い込んだ。鍛えられた身体のデコボコにつまずき、やがてそこに足を挟まれていた。

「そ、そんな……!」

 周囲の観察などする暇もなく登っていた結果だ。僕は巨人の腹筋のあたりにいた。鍛えられた腹筋はいくつも連なる山のようにそびえている。そして僕はその山と山の隙間に片足を取られた。抜こうにも焦ってまともに引っ張り出せない。筋肉をつたって僕がいる溝に滝のような汗が降り注ぐ。振り返れば迫ってくる巨根……。そしてついには……

「ぐぁああああああぁぁぁぁっぁぁっぁぁ!!!!」

 挟まっていた足が潰れた。そして千切れた……。
呼吸で上下する腹筋がその溝に挟まった僕の足を潰し切ったのだ。
 全身を突き抜ける痛みに叫びながら、僕は両手でなんとかその溝から這い出る。何度見ても僕の片足はもう存在しない。耳にはグリグリゴキバキと筋肉と筋肉が小人の足を挟み砕く音が聞こえてくる。そして追い打ちをかけるように、僕の上に白い液体が降り注いだ。ねっとりしたソレは僕の動きを完全に封じた。濃すぎる臭いと口の中に広まっていく苦味にもう何が何だかわからない。ただ微かに巨人の荒い息が聞こえていた。

「なんだ? もう終わりか? まあ、その様子じゃどうしようもないだろう

 巨人は満足気にそう告げると、僕の脇腹に鈍い痛みが走る。上昇する視界……。そうか、この男に摘み上げられたのか。その持ち方に配慮なんて存在しない。今ので身体中の骨がぐちゃぐちゃだ。僕は残された力で正面を見る。残酷に笑う巨人の顔がそこにあった。

「惨めなヤツが俺の身体で転がりまわる姿……面白かったぜ。お前は小人の割には健闘したほうだ。それだけは褒めてやろう。だから最後にボーナスタイムといこうじゃないか。いや、ショートカットってやつだな。うまくクッションに落ちる事が出来れば無事お前が目指していたゴールってわけ。さあ、いくぞ! 俺の雄っぱいのクッション目がけて落ちてこい!」

 僕の身体はすごい勢いで投げ飛ばされる。こんな結末になるなら生きようとしなければよかった。無駄な希望など持たなければよかった。思い返すのは巨人の口の中に落ちそうになったあの時の事。だが、今僕に迫っているのは、巨大に膨らんだ硬い男の胸だ。それは上下に揺れながら僕を殺すのを心待ちにしている。そうだ。この世界に、あの街に、この巨人が存在する世界に生まれた時点で、僕の最期というのはこうもアッサリと娯楽のために消化されるだけだったのだろう。巨人の胸はもう目の前だ。そして……

 そいつは俺の胸と胸の間にスッポリと入り込んだ。再度胸筋を揺らしてやる。
 一度目はバキっと。
 二度目はゴリッと。
 やがてグチャっと音をたてて、じんわり谷間に血が広がった。俺は目を閉じ胸を動かしながら、小人の最期を想像する。どんな気持ちだろうか? 最悪なのは間違いない。いや、最高の間違いか。俺の自慢の胸で挟み死ねたのだ。ただ喰われて消化されるより快感ってもんだよな? 俺は谷間に指を通し、血を拭ってはそれを舐めた。汗の味しかしねぇや。やっぱ一人じゃ物足りない。だが、まあ今回のやり方はただ殺すよりは全然良かった。喰うのもいいがやっぱ殺すのが何より気持ちいい。あの学校のガキ共もそうだが、助かるかもしれないと勘違いした時のマヌケ面がたまらない。そうだな、今度はもっと大人数でやってみよう。俺はスマホに手をかけ、あの店へと予約を入れる。

・エピローグ
「いやあ! お客様のアイディア最高でしたよ! おかげで売り上げが伸びまくりです!」
「ああ、そうだろ? 小人をテイクアウトできたらなと思ったんだ。店で喰う時間がない奴でもありがたいだろう」
「はい、それにお料理が趣味の方々にも結構利用していただけるようになりまして! それでお客様! 今日はどうされます? 今日の街は幸せな家族を多めに配置しておりまして、それはもう破壊しがいが……」
「悪いが明日早くてな。だが、幸せな家族ってのはなかなかにそそる。そいつらを多めにお持ち帰りさせてもらおうか?」
「はい、かしこまりました!」
 俺は子供のようにウズウズする心を抑えて家へと向かう。こいつら小人の世界を破壊する。それもいい。だが、こいつら小人の世界が俺自身だけというのもたまらない。なぜなら、そこに希望はないからだ。街での逃避はもしかしたら助かる希望がある。まあ、別の街へと記憶をすり替え使いまわされるだけだが、今はそんな事どうでもいい。全てが俺の意思次第でどうにもならない。どうしようもない。そう理解した時の小人の様子を楽しむとしよう。今度は数百人まとめて俺の身体にばらまいてやるのだ。しかも今回は数なんて気にしなくていい。仲間や家族が目の前で潰され、喰われる中、俺が指し示した希望へそれでも向かおうとする滑稽な様子を見物する。酒もたくさん買ってあるんだ。今度は長く楽しませてくれよ? 

END
モライビ   10nice!
<12> Re:終わっていた街 2017年06月25日 (日) 20時27分
この投稿を通報
あ〜、せっかく生き残った小人君も最期はやっぱり弄ばれるだけになってしまいましたね〜…\(^o^)/

最終的には主人公のアイディアで、時間の問題も解消されて、
店の方も売り上げが伸びまくりで双方得した感じでしょうかね〜。
襲撃される小人的にはたまったものではありませんが…\(^o^)/

物語が進むに連れて、元々小人君がいた街がどういう物だったのか
判明していくのがすごく面白かったです(*´Д`)
小人が食べ物として認知されてる世界だと、こういうことも起こりうるんですね〜。

完結おつかれさまでした!
ソーダ   1nice!
<13> Re:終わっていた街 2017年06月25日 (日) 23時16分
この投稿を通報
感想ありがとうございます〜。
とにかく自分は喰いが好きなので、巨人が小人を喰う世界はどんな感じなのか? 食べ放題とかあるのだろうか? と色々想像して書くのは楽しかったです!
完全ファンタジー世界ではなく、ある程度現代よりに考えて書くと、「もしかしたらありえるかも?」みたいに思えて自分は好きですね。
モライビ   0nice!
<14> Re:終わっていた街 2017年06月26日 (月) 01時09分
この投稿を通報
リアルな空気感がたまらなくて、徐々に世界観が分かってくるのが非常に興奮しました。
ユニークな設定が最高です。
また、巨人の行動も心底楽しみながら小人を恐怖のどん底に突き落としているんだなあというのが伝わってきて、
それもよりいっそうこの世界観を楽しめた感じがします!

完結おつかれさまでした。
匿名巨望   1nice!
<15> Re:終わっていた街 2017年06月27日 (火) 00時10分
この投稿を通報
リアルな雰囲気が伝わったのなら、自分もとても嬉しいです!
小人にとっては恐怖でも、巨人達には施設での娯楽ですから、その辺の価値観の違いが怖くもあり書いてて楽しい部分でした。
モライビ   0nice!




   名前: (省略可)      編集・削除Pass:(省略可)


(省略可)

画像アップロード
※↓カテゴリ選択(プライベートスレッド内への投稿の場合、選択しないでください)

youtube動画やニコニコ動画を貼り付けた時は、「動画」を選択してください
       
MAIL:
(省略可)
URL:
(省略可)
編集・削除Pass:(省略可)
楽天で探す
楽天市場


無断転載・転用禁止。
当掲示板の文章・画像などの著作権は投稿者に属します。