【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中

フームの本棚

ここは皆の小説置き場よ!感想は掲示板にね!

ホームページへ戻る

MIDIはいかがです? チルチルの丘 プラネタリウム 幸せの条件
名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[221] 眠れぬ夜は・・・
okaMi - 2005年09月02日 (金) 20時00分

(・・・眠れない)

その日、ボクはなぜか眠れなかった。
いつもの時間に、いつものようにベッドに入ったのに、
全然眠れないんだ。

何回も寝返りをうつ。
ごろごろごろごろごろ・・・・
逆に眠れない気がする。

羊、数えてみよう。
一匹、二匹、三匹、四匹、五匹、七匹、八匹、


なんかとんだぞ?


(あ〜、もうやめよう!)

思い切ってベッドから飛び出す。
もうヤケだ。今夜はねない!!

(でも、何してようかなぁ?)

友達と遊ぶ・・・みんな寝ているだろう。
テレビを見る・・・面白いのがない。
歌を唄う・・・近所迷惑。

(そうだ)

窓に駆け寄り、空を見上げる。
真っ暗な空を星たちが彩っていた。

「たまにはこういうのもいいよねぇ」

と、ボクがつぶやいたとき、


『そうだろうそうだろう』


どこからともなく同意の声。

「えぇ?誰?」
『ここだよ』
「どこ?」
『ここ、ここ、君の上』
「上・・・・?」
見上げても誰もいない。あるのは夜空と星と大きな三日月。

「星と月しかないよ〜?」
『せいか〜い』
「えぇ?!もしかしてお星様?!」
『そっちじゃなくて、月、月』
「あ、あぁ〜、って、えぇぇ?!」
『君って面白いなぁ』
「それは、どうも」

月を見上げると、気のせいか皮肉たっぷりに笑ってるように見えた。気のせい・・・だよね?

「お月様ってしゃべれたんだねぇ」
『そうだよ。月だって生きてるんだから』

そう言った三日月に、疑問が一つ浮かんだ。

「じゃあ、何で普段みんなとしゃべらないの?あんまり見たことないけど・・・」
『しゃべろうと思えばしゃべれるんだよ。でも、みんなが僕はしゃべらないって決めつけてるから』
「そうなの?」
『だって、君だって驚いてただろう?』
「ああ、そっか」

妙に納得。
そこから、ボクと月はいろいろなことをしゃべった。
友達のこと、遊びのこと、星のこと・・・

そこでボクは、前々から気になっていたことを聞いてみた。

「ねえ、お月様!やっぱりそこからって、遠くが見えるの?」
『ああ、見えるよ。何でも見える』
「海は?」
『見えるよ』
「高いビルも?」
『見えるねぇ』
「すっご〜い!」

ボクは目を輝かせた。だってボクは、海も、高いビルも見たことがないから。

「いいな〜、何でも見えるって。ボクもお月様みたいになりたいなぁ」

そうボクが独り言のようにつぶやくと、お月様は顔を曇らせた。

なんでだろう・・・・・?

−続く−

[227]
okaMi - 2005年09月05日 (月) 19時42分

「えぇ、なんで?」
ボクが尋ねる。
『確かに、ここからはいろいろ見えるよ。海も、高いビルも。でもね・・・』

お月様は、一方向を見ながら、何とも言えない顔をした。



『僕が今見ている方向で、町が一つ消えたよ』



「――――え?」
『また、戦争が始まったようだね』

何とも言えない顔――――そう、泣きそうな顔をしながら、お月様はぽつりぽつりとつぶやき始めた。

『向こうでは、何日か前から二つの国がいがみ合ってたんだ。でも今日、とうとう戦争が始まってしまったようだね』
「で、いま、またって言った・・・?」

お月様はボクを見た。ひどく悲しそうな微笑みを浮かべて。

『いつでも起こっているんだよ。おととい南で戦争が終わったと思ったら、次の日は東で始まっている。僕はね、それが全部見えるんだよ。もちろん、町に爆弾が落とされるのも、人々が争うのも、森が焼けるのも』

見える。何度も何度も起こり続ける悲しい出来事。
それを、強制的に見てしまう。

『見えるだけでもつらいのに、僕には、何も出来ないんだよ?もうすぐで死にそうな赤ん坊に、僕は助けてあげられないんだ』

情けないだろ?とお月様は笑うけど、それはとても苦しくて、悲しいことで。
それでもおどけて笑うお月様が悲しくて、僕はいつの間にか泣いていた。

「ごめんね・・・・ボク、お月様のこと何も考えないで・・・・ごめんっ・・・」
『おいおい、君が泣いてどうするんだい』

そう言うふうに慰めてくれるお月様が、ボクは大好きになった。

お月様はいつでもボクらを見守ってくれているんだ。
いつでもボクらを心配してくれてるんだ。
いつでも困っている人たちのことを考えてくれているんだ。

「・・・ねえ、お月様」
『ん?』
「お月様は、傷ついてる人たち助けたい?」
『そうだねぇ、もし僕が地上に行けたら・・・・助けてあげたいよねぇ』




「・・・だったら、ボクに任せてよ!」




ボクが涙を拭きながら、うつむいて言う。
顔が見えないけど、お月様が驚いたような気がした。

『ええ?』
「だから、お月様が出来ない代わりに、ボクが何とかしてあげる!約束!」

勢いよく言うボクに、お月様は吹き出した。

「なんだよ〜?笑うことないだろ?!」
『ごめんごめん。けしてバカにしたんじゃないんだよ』

つられてボクも笑う。なんだかこれだけですっごく幸せな感じがするなぁ。

「あのね、」
『うん』
「ボク、今幸せなんだ。お月様と話せて、見えなかったこと知って、笑えて。だから、お月様の代わりだけじゃなくて、ボクの意志でも」
『みんなにこの幸せをわかって欲しい?』

ボクはうなずく。お月様は、すごく嬉しそうな顔をしてくれた。

『ありがとう。やっぱり君に話しかけて良かったなぁ。ありがとう、ありがとう』

そんなに何度もありがとうって言われると、なんだか照れちゃうな。
でも、悪い気はしないや。



―――と、いきなりボクの視界がかすんだ。
知らずのうちにあくびがこぼれる。

『おやおや、眠くなってきたのかな。もう寝なよ』
「えぇ〜・・・まだやだぁ。お月様と別れたくない」
お月様は笑いながら、
『僕はいつでもここにいるじゃないか。いつでも君の近くにいるよ。空に浮かんでいるからね。さあ、おやすみ』

そう言われると、妙に安心して、ボクはベッドに入った。

「じゃあ、おやすみ。お月様」
『ああ。・・・・約束、忘れるなよ?』
「忘れないよ、絶対」

とぎれそうな意識の中で、僕はふと思った。

(ボクが寝付けなかったのは、ひょっとしたらお月様と話すためだったのかな?)

その答えは出ないまま、ボクは深い眠りについていった――――



−END−



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板