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タマムシ大附属学校

ポケモンのオリトレ小説、学園パラレル企画掲示板。
要するに、オリトレ達のドタバタ学園コメディ(待て)。
物語がどう突き進むかは全く不明ですが、何はともあれ楽しみましょう。

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[138] 学園ネタ読み切り(2)「天を舞う美しき翼」
アット - 2006年10月16日 (月) 22時38分

学園ネタ読み切り(2)「天を舞う美しき翼」

 

――高嶺の花なら、高嶺まで登っていけばいい。
――……って考えは、安直なのかなぁ。

――でも……もし、それ以上があるとしたら?

――例えば、天を舞うような存在には、どうやったら手が届くんだろう。

 

「そりゃ、考え過ぎだろ」

 と、そっけなく言うスポーツがりの少年が1人。
 タマムシ大附属学校中等部一年、上谷 想人(カミヤ ソウト)である。
 彼と会話をしていたのは、同級生にして親友である香野 詩空(コウノ シクー)。
 どうやら、シクーの方がソウトに相談をしていたらしい。

「まぁ……そりゃ、そうなんだけどさ」

 ふぅっと、シクーはため息をつく。
 2人は、サッカーなどをして賑わう生徒達が集った、放課後の校庭の片隅にて佇んでいた。

「僕なんかが、手の届く存在じゃないって事は同じなんだし……」

「何で、そんな事言うんだよ」

 後ろ向きな発言をするシクーを、ソウトはたしなめる。
 やや言葉に詰まった様子のシクーだが、なおも自信無げな口調で話を続けた。

「だーって、僕よりカッコ良さげな男の子にも凄い人気あるし。……ナツキちゃん」

 夢里 那月(ユメザト ナツキ)。
 彼女は隣校であるヒスイ女子学園の生徒で、タマ大附属でも噂になるほどの美少女だった。
 大人しくて優しい性格もあって、男女共に好かれる人気者なのである。

「シクーは、その子と話したことないのか?」

 相談役のソウトが、改めてシクーに尋ねる。
 うじうじした態度のシクーが相手だが、嫌な顔1つしないところが彼の長所なのだ。

「うーん。みんなのグループに混じって、一言二言喋っただけだからなぁ……。きっと覚えてないよ」

「だったら、まずその子と正式な友達になったらいいじゃねぇか」

「…………。どうやって?」

「ん? どうやってって……ノリ?」

「ノリっ!? 分かんないってば(汗)」

 そして、妙にアバウトなところがソウトの短所だ(ぇ)。

「じゃいっそ、腹くくって『付き合ってください!』とか」

「もろ告白じゃん!」

「目的は同じなんだから、いいだろ?」

「……友達から始めようって案は、どこへやら(汗)」

 そんなこんなで、ちっとも解決しそうにないのだった。
 すると、不意に彼らの目の前を、1人の大人のお姉さん(ぁ)が横切って行くのが見えた。

「〜♪」

 妙にご機嫌そうな彼女は、そのまま2人の前を通り過ぎていく。

「今の、カナ先生じゃんか」

「どこ行くんだろう?」

 保健室の先生である彼女が、全く関係ない場所へと向かっている。
 急いでいる様子はないから、どこかで急患がでたという事もないだろう。
 ……大体、カナが何かしらのアクションを起こす時は、決まって『歴史』が動くのだ(何)。
 今回も、何かあるのだろうか……?

 

 

 

「はぁ〜……。何か、面白いネタねぇかな……」

 変わってこちらは、新聞部の部室。
 部のドンこと、箕影 悪狐栗鼠(ミカゲ ブラッキー)は記事ネタに飢え死にしかけていた(?)。

「普段は大体、何かしら起こってるのに……。たま〜に、こうポッカリと何もない時期が来るとなぁ」

 城田 裕人(シロタ ユウト)も、彼に共感の意を示していた。

「だが、ここで腐ってたら新聞部の名折れだ」

「じゃ、どうするんだ? ブラッキー」

「ネタが無けりゃ、でっちあげりゃいいんだよ。生贄を数人選抜してだな……クククっ」

「(うわー、黒い事考え始めた……)」

 ブラッキーの瞳が、怪しく光った。

「うむ。しかし相手を間違うと君の首が飛ぶので、十分気をつけたまえよ」

「うおぁッ!!?」

 いきなり後ろから聞こえた声に、ブラッキーとユウトは驚きおののいた。

「いたのかよ、サカガミ先生!」

「ほっほっほっ。まがりなりにも、部の顧問だからな」

「いつもいねぇじゃん! 何で、たまに神出鬼没になんだよっ」

「それよりも、だ。君のことをあえて止めるつもりは無いが……」

「止めねーのかよ、自分の担当の部員の不祥事だぞ! とんでもないセンコーだな、オイッ!」

 これでは、逆にブラッキーのやる気の方が削がれてしまった(ぁ)。

「だが、相手を間違えると本当に悲惨な目に遭うのは君達になろう。そこだけは注意することだ」

「けっ。誰も俺を止める事なんてできねぇよ」

「とにかく、目をつけられんよう気をつけなさい。……カナ先生とかに」

「……すみませんでした(汗)」

 ブラッキーが教師の中で唯一、最重要警戒体制をしくべき(ぇ)存在。
 その名を出されては、ブラッキーは肝に命じるしかない。
 仮に今ブラッキーが述べた内容を、カナが大事にしている生徒に行い、その逆鱗に触れようものなら……。
 改めてブラッキーは、サカガミの言った言葉の意味を重々に理解した。

「なんなら、要注意人物のブラックリストでも作っておきなさい。無論その実体は、カナ先生ご贔屓(ひいき)の生徒リストアップになるが」

「あ、ある意味……必要になってくるかもな、ははは……」

 乾いた声でユウトが笑う。

「うむ。……ところでカナ先生といえば、最近何か動きを見せておるようだったな」

「むっ」

 サカガミの話に、すかさず反応を示すブラッキー。

「あの人が動き時は……」

「……歴史が動く時!」

 どうやら、これは周知の情報のようだ(ぇ)。

「よっしゃ。さっそく調査だ!」

 ブラッキーとヒロトは互いに頷き合うと、すぐさま出かける準備を始める。

「うむ。くれぐれも、カナ先生の怒りに触れるのだけは、避けるように」

「……わ、分かってるって!」

 念を押す顧問に、2人は背筋をヒヤリとさせつつも、改めて慎重な行動を要する事を自覚した。
 まさに、虎穴に入らずんば虎子を得ず……。

 

 

 

 タマ大附属とヒスイ女子学園は、一部の部活において共同活動をしているものがある。
 たとえば、アイドル部がまさにそれだ。

「あのー……私、そろそろ古流剣術部の方に戻らないと」

「心配いらないわよ。顧問には話つけておいたから、今日はずっと私の元にいなさい♪」

「(……逆らえなかったのね、ケン先生(汗))」

 タマ大附属の中等部二年生、御園堂 せれな(ミオンドウ セレナ)。
 本来、彼女は古流剣術部に所属している女子中学生だ。
 ところが、セレナは今アイドル部の集会場へと来ていたのである。

「大体、セレナちゃんはもったいないのよ。それだけの美貌と、ナイスバディさを兼ね備えていて、私のアイドル部に来ないのは自然界の掟に反するわ」

「(掟!?)……はぁ。ま、いいんですけどね」

「おまけに、お家で巫女もしているそうじゃない。こーんな萌えの付加価値までがついたあなたが、ケンの部活にいてくれた事を嬉しく思うわ♪ これでいつでも、こっちに召集かけられるものね」

 ……直接は言ってないが。
 要は、『ケンのものは私のもの。私のものは私のもの』というジャイアニズムを堂々と掲げているようだ(ぇ)。

「(さすがだなぁ、カナ先生……)」

 セレナは、言いようのない苦笑いを浮かべて、そんな様子を眺めていた。
 そう、彼女こそが平成の天下人……可奈 亜瑠徒 狐栗鼠町(カナ アルト イーブイタウン)先生なのだ(何)。

「勝手に、妙な肩書きつけないでちょうだい(汗)」

 ちなみに最初の方でカナが保健室の先生と話したが、同時に彼女はアイドル部の顧問。
 というか、彼女が顧問として受け持っている部活は他にもまだまだあるらしい。
 そもそもが保健室の先生が部活の顧問をするなど、聞いたことがないのだが……。
 この事も、カナ先生ならば『ありえないという事などありえない』になる(ぇ)。

 はてさて。
 今回の彼女が、何をしているのかというと……。

「ずばり! ダンス部とアイドル部の合併を提案するわ!」

 この場に集まっていた部員達に対し、カナが大きな声で表明した。
 ただ彼女の言う『提案』とは、事実上の『決定事項』もしくは『命令』を意味する(ぁ)。

 なお、今ここに集っていたのは、もちろんダンス部とアイドル部の者達。
 ただしそれはカナが勤めるタマ大附属だけではなく、ヒスイ女子学園の部員達も揃っていた。
 隣校の部活にまで勝手に体制改革を行ってしまう辺り、やはり彼女は格が違う……。

「あのー、先生?」

 と、そこへ手を挙げ質問をする者が1人。
 タマ大付属中等部1年の、笹神 和葉(ササガミ カズハ)だった。

「……何でまた、そんな事を?(汗)」

「カズハちゃん。あなたは、アイドル部とダンス部の掛け持ちだったわよね?」

「え? えぇ……まぁ」

「これからは、アイドル部の中に色んな部門を設けようと思うの。で、その中にダンス部門ってのもあって、合併する事でダンス部の人達はそこに入ってもらうことになるわ」

 得意げに、カナは話す。

「そうすれば、カズハちゃんとしても両方に顔を出さずに済むでしょう? そういった配慮なのよ」

「私の為……だったんですか!?」

 意外な回答を受けて、カズハはその蒼い瞳を大きく見開いた。

「あ、ありがとうございます。カナ先生! 私、カナ先生にずっとついていきますね!」

 と、こうして洗脳完了(違)。

「(単純だなぁ……)」

「(単純ね……)」

「(カナ先生のことだから、絶対それ以外に裏の理由があるんじゃ……)」

 なんか周囲からは、そのような思考が各地で浮かび上がっていたようだが。
 少なくともカズハは目をキラキラさせてカナを見ており、確かに単zy(ry

「……本当の理由は違うんじゃないかしら?」

 そしてこの事を、あえて口に出す者も。

「ヒスイ女子学園の私達まで、部活合併に付き合う事になるなんて、他に理由があるとしか思えないんですけど」

「あなたは……確か、水代 真弓(ミナシロ マユミ)ちゃんね」

 カナに呼ばれた少女マユミは、ヒスイ女子学園の中等部1年生だった。
 彼女もアイドル部員だったので、この場に居合わせていたのである。

「確かに、別の理由もまた存在するわ。……隠し事は良くないし、教えてあげる」

 カナは「ふふふっ」と楽しげな笑みを浮かべ、ある1人の生徒を指し示した。

「夢里 那月(ユメザト ナツキ)ちゃん。アイドル部へようこそ♪」

「……すぅすぅ……Zzzz……」

「(寝てるじゃんっ!!?)」

 集まっていた一同ほぼ全員が、心の内でツッコミを入れた。

「……ふぇ!? ……あ、おはようございます」

「うんうん。萌え要素も最高だわ、ナツキちゃん♪」

「はぁ……?」

 やけにご機嫌なカナに対し、ナツキはきょとんとして返事をした。

「いや〜もう、ヒスイ女子学園にあなた程の逸材が入学してくれるなんて、嬉しい限りよ♪」

「(あなたタマ大附属の先生でしょう……!!)」

 これも一同の内なるツッコミだ(何)。

「ダンス大いに結構♪ でも、あなた程の美貌ならアイドルとしても100%成功するわ。期待してるわよ!」

「……はぁ。よく分かりませんが、よろしくお願いしますわ♪」

「(いいの、それで!?)」

 これも一同の……以下略(ぁ)。

「つまり、ダンス部所属だったあの子を、アイドル部に引き入れる為に……わざわざヒスイ女子学園まで巻き込んで、部活合併をした訳ね」

「あらやだ。マユミちゃんたら、何で分かったの?」

 ここまで来れば、大体だれでも分かりそうだ(ぇ)。

「ふぅん……」

 ジロリとした目で、マユミはナツキを見る。

「あ、よろしくお願いしますわね♪」

 にっこり微笑んで、ナツキは挨拶をした。

「(悔しいけど、確かに可愛いわ。だけど、それよりも……)」

 マユミにとって、特にナツキが目についた部分。
 それは……胸(爆)。

「(今までは私がアイドル部一の**(確認後掲載)だったのに、この子もアイドル部に入るのだとしたら……くぅ!)」

 と言っても、別にマユミの方が劣っている訳ではない。
 どちらもヒスイ女子学園の中一にして、この年代にしてもしなくても最高ランクのバストサイズを誇っている(何)。
 だが、同級生にして互角のスタイルを持つがゆえに、なおのことライバル意識が芽生えたようだ。

「(いいわ。あくまで、実力で勝ってみせるもの!)」

「……?」

 勝手にライバルに指定されてしまったナツキだが、彼女は何も気づかずじまい。
 あくまで持ち前のおっとり姿勢を崩さないのだった。

「うんうん、青春ねぇ。先生もこれからが楽しみよ♪」

 なんか、この人は気づいている(ぁ)。
 つか、これって青春なのかどうなのかは不明……。

「あの、先生?」

 ふと、そこで手を挙げる女子生徒がまた1人。

「例の件は、どうなりました?」

「月島 琴波(ツキシマ コトハ)ちゃんだったわね? 心配はいらないわよ」

 こちらは、タマムシ大附属高等部1年生のコトハ。
 彼女の場合、実はアイドル部でも無ければダンス部でもない。
 姉はアイドル部所属なのだが、彼女は……。

「じゃあ、本当にOKなんですね!? 『月の恵』の援助の件!」

 先ほど言った『例の件』なる言葉に続き、集まっていた生徒達はみなが疑問符を浮かべていた。
 ただ、『月の恵』とはコトハがボーカルを務める3人組のユニットの名称である。
 最近になって両校の間で話題に上がりつつあったので、それは多くの生徒が知っていたらしい。

「といっても、コトハちゃん側がこちらの要件をのんでくれればの話だけど♪」

「もちろん大丈夫ですよ! カナ先生が援助してくれるというのなら、こっちは大助かりですし♪ ……あ、それと……」

「新メンバーの求人の件も、ちゃんとそれも考えておいたわ」

 そう言って、カナは再びナツキの方へと視線を移す。

「あの子なんて、どうかしら?」

「え? でも、彼女はたった今アイドル部の方にも来るってことになったんじゃ……」

「細かい事は気にしないの♪ ナツキちゃんはダンスも歌唱力も抜群だし、全く問題はないハズよ」

「……そういう事なら……分かりました♪」

 カナとコトハの会話を、ナツキはきょと〜んとしながら見つめているばかり。
 なんか、知らない間に勝手に話が進んでいるような……。

「えっと、ナツキちゃんって言ったわよね?」

 そうこうしている内に、コトハの方から声がかかる。

「私達、『月の恵』でちょうど新メンバー募集してたのよ。一緒に頑張ってくれるかしら?」

「……あのー、よく分からないんですが……(汗)」

 確かに、何も説明は受けていない。
 ナツキでなくとも分からんだろう(何)。

「細かい事は気にしちゃダメよ! ナツキちゃんは、これからこの先輩についていきなさい。分かった?」

「……はい……分かりましたわ」

 ……分かってません(爆)。
 とはいえ、カナの巧みな言葉遣い(そうか?)により、見事ナツキの了承を取ったようである。

「あとはコトハちゃんも、時間のあるときにアイドル部の方に協力してくれれば、取り引き成立って訳ね♪ あ、それと月の恵メンバーの基樹(モトキ)君にもそう言っておいて」

「え、モトキも……なんですか?」

「彼もなかなかカッコイイものね。頼むわよ」

「(……ま、いっか。モトキだし(オイ))分かりました♪」

 なんだかんだで、話は難なくまるく収まったらしい。

「(よーし、やったわ!)」

 でもってカナ先生、心の中でガッツポーズ。

「(ナツキちゃんをアイドル部に引き入れる為の部活合併。そして手に入れたナツキちゃんをエサに、今人気の『月の恵』を完全掌握。となれば、これが宣伝効果となって多くのアイドル素質を秘めた子達が学校に集まってくるのよ! ふふふっ、これで我がアイドル部は確固たる地位を築けたわね!)」

 ……まさに、芋づる式。
 なんと恐るべき、計算ずくな謀略であろうか。
 彼女ならば、ロケット団なんぞ3秒でチリにできる一個団体を組織できたとしても、全くおかしくはないだろう(爆)。

 

 

 

 そんな集まりも散会となり、今日のところは特別な活動もなく終わりとなる。
 自由時間となって仲間達とお喋りを楽しむ部員もいれば、すぐ帰ってしまった部員もいるようだ。

 ちなみに、先ほどのモトキに対してのカナの言動から察する通り……。
 誤解されがちだがアイドル部は決して女子だけではない。
 少数だが、美男子としてカナ先生のスカウト(つーか拉致)に遭った者もいたりする。
 けれども、だからといって彼らの実態は割と普通の男子と変わらないことが多い。
 ごく普通に、可愛い女の子に憧れたりもするのである。

「ナツキちゃん……かぁ。確かに可愛いよな、あの子」

「ま、この部活で可愛いのはみんなそうなんだけどな(苦笑)」

「声かけてみたいけど、俺なんかじゃ相手にされないよなぁ」

「それも、この部活の女子部員はほとんどみんなそう思えるが……」

 上記の通り、彼らは一般レベルと比べてもかっこいい男子達なのだが。
 それでも、こうして尻込みするぐらいにこのアイドル部の女子レベルは高い。
 (というより学園そのものの女子のレベルが結構高めのようだ)
 ナツキは特に格別で、前々からあらゆる男子達の間で噂になった程なので、そんな彼女がアイドル部に来たとあっては男子部員が意識するのも無理はなかった。

「あ〜あ、みんな情けないわねぇ」

「はい?」

 カズハが、カナの言葉に疑問符混じりの相槌をうつ。

「男子達の話よ。相手にされないかどうかなんて、声かけてみなきゃ分からないじゃないのよねぇ?」

「……カナ先生は、例えばナツキちゃんに恋人とかできても気にしないんですか? アイドルだと、そういうのって結構厳しいのかと思ったんですけど」

「仕事と恋愛は別よ! むしろ恋愛を束縛するような仕事なんて、私は許せないわ!」

「そ、そうなんですか……。でも、先生がそういってくれるなら安心ですね」

「そうよ。だからカズハちゃんも、遠慮なく相談しなさいね?」

「……え?」

「ふふっ♪ 仲のいい男の子、2人ぐらいいるじゃないの。どっちか気になってるんじゃないの〜?」

「えぇ!? いや、それは……(赤面)」

「正直な子ね〜。でも安心して! この愛の指南者カナ先生が、いくらでもフォローしてあげるから♪」

「あ、あはは……(苦笑)」

 ……カナのフォローが入ると、何がどうなるか分からないのが恐い。
 それでも、ちょっぴり冒険してみたい人は頼ってみるのも手なので、お試しあれ(オイ)。

「やぁ、ナツキちゃん」

 一方その頃、やけにナルシスト風な男子がナツキに声をかけていた。

「はい?」

「ふふふ、本当に君は美しい。君の存在は、高嶺の花達すら手に届かぬような、天をも魅了する美しき翼の如くだ」

「は、はぁ……」

 相変わらずきょとんとしたまま、声をかけてきた男子に気持ちのこもらぬ返事をし続けるナツキ。
 さっき言ったように、アイドル部の男子といえども、大体は中身は普通の男子と変わらんのだが……。
 中には、こういう変な奴もいるようである(ぁ)。
 ただこいつ名前考えてないので、面倒なので省略します(酷)。

 それにしても、ようやく彼女に声をかける者が現れたかと思えば、こんな野郎とは……(ぇ)。

「これからは、同じ部活だね。よろしく頼むよ」

「オイコラ、何を気安くナツキに声かけてるんだ!?」

 そんな中、ムカムカしながらナルシスト野郎(何)に声につっかかる男子が、また1人。

「……ん? 何だい、君は」

「あ、私の幼なじみで……タマムシ大附属学校中等部一年生の、東垣 和馬(トウガキ カズマ)君ですわ」

 この少年カズマについては、ナツキの方が先に紹介してきた。
 そのせいか、はたまた関係無しか……カズマはろくに自分についてを名乗ろうとはせず、問答無用で相手につかみかかる。

「ナツキに変な事したら、承知しねぇから覚えとけ!」

「ふっ、随分と野蛮な幼なじみ君だねぇ」

「何っ!?」

「大体、君は何なんだい? アイドル部の男子部員とは思えないけど」

「今度から、マネージャーやる事になったんだよ。文句あるか!」

 感情的なカズマは、吠えるように言い放った。

「(……いつもおっとりしてるナツキに、悪い虫がつかねぇようにする為には、俺が守ってやるしかないしな。こんな奴、ぜってぇ認めないぜ)」

「マネージャーねぇ。だったら、マネージャーらしく裏方の仕事を頼むよ。あまりでしゃばってほしくないなぁ」

「んだとぉ!?」

 カズマもカズマで、いちいち相手の安い挑発にのってしまう。

「あ、あのぅ……あまり、ケンカは良くないですわよ……」

「ふむ。これは面白くなってきたわね!」

「……え゛。カ、カナ先生?(汗)」

 いきなり真横にカナが立っていたもんだから、さすがのナツキもちょっとビックリ。

「(誰もナツキちゃんに声をかけようとしないフヌケばかりかと思ったら……これはこれで、楽しみな展開になってきたわね〜♪)」

 なんか遊んでます、この人(ぁ)。

 

 その、少し離れた位置にて。

「なるほど。確かに大人気だな」

「ソ、ソウト〜……やっぱり帰ろうよ〜……」

 シクーとソウトは、柱の影からこのやりとりを伺っていた。
 要するに、覗き見(爆)。

「いーや、駄目だ」

「何でさ〜……」

「こうなったら、ほっとくとすぐ誰かに取られちまうぜ。それでもいいのか?」

「うっ……そ、それは……」

 本当にシクーはどこまでもうじうじしている。
 まぁ、だからこその後押し役としてソウトがいる訳だが。

「それに、あのナツキって子……どうにも鈍そうな感じだしな。ありゃ、下手すると変な男にすぐ引っかかっちまうタイプだぞ」

「えぇ!?」

 それは、確かに当たっている(ぁ)。

「そんなのは……嫌だ……」

「じゃあ、話は早い。とっとと行って来い」

 ドンッ!
 不意にシクーは、ソウトに背を叩かれる。

「うわわわっ」

 そのままヨタつきながら自然と前に出て、しまいには転んでしまった。
 もちろん、これで隠れていた柱からも飛び出してしまった形となり、アイドル部員達の誰もが彼へと注目。

「ん?」

 ナツキにカズマ、それとナルシスト男も、当然シクーに目を向ける。

「……やれやれ。今日は変な男と縁がある日のようだな」

「それ、俺も含めてかよっ」

 どこまでも挑発に乗りやすいカズマはさておき……。
 こうなってしまっては、シクーも引っ込みがつかない。

「(あわわわわっ!!? ど、どうしよう……!!)」

「あの……」

「っ!!?」

 そこへ声をかけてきたのは、他ならぬナツキだ。

「あっ……あっ……(ナ、ナツキちゃん……)」

「大丈夫ですか? 思いっきり転んでしまわれたようですけど……お怪我はありません?」

「っっ……!」

 可愛くスタイルも抜群なのは当然として、大人しそうで優しい態度のナツキ。
 それがシクーにとっては、何よりも理想のタイプだった。

「……え、えっと……」

 こうして、とうとうシクーは我を忘れる(ぁ)。

「……ぼっ……」

「……?」

「……僕の彼女になって、ナツキちゃん!!」

「……っっ!!?」

 …………。
 その瞬間、一気にその場が静寂に包まれた。

「(うおっ、ホントに言ったか! けど、さすがに今のってタイミング的に大丈夫なのか……?)」

 様子を見守るソウトだけが、シクーに対して心配の気持ちを向けていた。
 他の者達はというと……。

「……ぷっ……わはははは!」

 すかさず、シクーを笑いものにしてしまう始末。

「何言ってんだ、こいつ〜?」

「大体、お前どこの誰だよ」

「ふっ。君、ものには順序ってものがあるんだよ。空気を読みたまえ」

「(あわわわっ……もう、駄目だぁ〜……)」

 この瞬間に、シクーにとってみれば世界の終わりに等しかったかも知れない。
 人間、誰しも時間を戻してやり直せるならやり直したいと思う時があるかも知れないが、シクーにとっては今がまさにそうだっただろう。
 逃げ出したい気持ちもあっただろうが、それすら行動につなげることができないでいるのだった。

「…………。は、はいっ……」

 ところが。

「……へ?」

 ナツキの言葉に、誰もが耳を疑い、そしてまたも場は静寂に包まれた。

「わ、私なんかで良いのなら……よろしくお願いします!!」

 そう言って、ナツキは顔を真っ赤に染めたままお辞儀をしていた。
 周囲の者達は、まだ状況が読めていない。
 彼らがリアクションを起こすまでには、更に4〜5秒ほどの時を要したのである。

「……えぇぇ〜っっ!!?」

 男子も女子も、まとめて盛大な驚嘆の声を響き渡らせた。
 特にカズマとナルシスト男は、口をパクパクさせてまともに話す事もできないでいる。

「(おぉっ。なんかよく分かんねーけど……やったぜ、シクー!)」

 ソウトだけが、柱の陰でガッツポーズを決めているのだった。

「……え。あ、あれ?」

 でもって、一番状況を飲み込めてないのが、当のシクー本人だったりする。

「本当に……いいんですか?」

「へ?」

 せっかくナツキの方から語りかけてきても、反応がいまいち鈍い。

「本当に私なんかを……そ、その……か、彼女に……してくれるんですか?」

「……っ! う、うんっ……」

 とりあえず返事をしなきゃしょうがないので、シクーはコクコクと数回頷いて答える。
 するとナツキは、それまでの恥じらいの表情から一転して、パァっと明るい顔になった。

「……嬉しい……。改めて……宜しくお願いしますわ、シクー様♪」

「あ、うん……(って、何で様づけ?)」

 いや、それはアクジェネの方の仕様だから気にしないで(オイ)。

「(けど、ナツキちゃん……僕の事、ちゃんと覚えててくれたんだ……)」

 自分がナツキに知ってもらえていたかどうかも自信がなかったので、それだけでシクーはぽーっとなる。
 正直なところ、告白をOKしてくれた事の方がなかなか実感が沸かなかった。

「あらら。見事に硬直しちゃってるわね〜」

 真っ白になって石化中(ぇ)の男子一同を見て、やれやれといった面持ちでカナは言う。

「まーでも。成り行きはどうあれ、ここは完全にシクー君の勝ちね♪ ……あぁ、それから、そこ!」

 最後にカナは、ビシっと1本の柱に指さした。
 といっても、ソウトが隠れている柱とはまた別のものに対して。

「記事にする程度は許すけど、あんまり気に入らない表現をするようなら即潰しにかかるから、せいぜい新聞の書き方には気をつけることね!」

 で、その柱の裏側はというと……。

「(何で俺達がいるのバレてんだよっ)」

「(やっぱ、あの人だけは侮れねぇ……)」

 ユウトとブラッキーが、冷や汗かきつつ潜んでいるのだった。

 

 終わり

 

 いやはや、カナは書いてて楽しいです。
 といっても、やはり彼女のはっちゃけ具合(謎)は、本家(だいすさん)には及びませんねぇ。
 実際に書いててそれを実感しました。
 本格的なカナさんは、やはりだいすさんに期待しましょう(ぁ)。

[139]
ナオ - 2006年10月18日 (水) 21時09分

どうも、感想書かせていただきます。

まず、僕の投稿キャラからはマユミが登場したわけですが、彼女の口調は、アットさんのミルト辺りがいい例なんですけどね…。とりあえず、語尾に♪がついたり、結構明るい口調や雰囲気で話したりするのが彼女の本来の喋り方。でも、真面目な時の話し方としては悪く無かったです。流石アットさんですね。

マサシ「…というか、作者すら使った事の無いキャラを他の作者につかわせて、口調などの参考書にでもするつもりじゃないのか?」

失敬な!決してそんな事は無い!ただ、出す状況が作れなかっただけだ。

ユキヤ「完全に作者の技量不足だな。」

……(涙)

アヤ「ねえ、感想のコーナーのはずが、何時の間にか作者に愚痴をぶつけるコーナーになってるわよ。

と、とりあえず僕のほうも新しいネタでの学園短編を手掛けているので、是非期待してください。

マサシ「というか、作者の小説期待してる人って、いないだろ。」

……(倒)。

全員「あ゛、作者が倒れた!」

[141] 感想らしくない感想(謎)
雪 - 2006年10月19日 (木) 22時34分

カズハが洗脳されてる……(笑)。

カズハ「洗脳されてるんじゃないよ。カナ先生はそんな事しないもん」

(やっぱ洗脳されてんじゃん!(爆))
……で、カナにはするの? 恋愛相談。

カズハ「うーん……しようかなぁ……」

するのか(汗)。

カズハ「それにしても……シクー君凄いなぁ……。後でナツキちゃんに『おめでとう』って言いに行かないと♪」

……まぁ、頑張れ。

カズハ「が、『頑張れ』って……何を?(汗)」

と、とにかく(?)、今回も面白かったです。
次回作も楽しみにしてますね♪

カズハ「それって『次回作も書け』って言ってるんzy」

……気にするな(蹴)。

[143] あのナルシスト男・・・一瞬アースかと思っちゃいました。(ェ)
HIRO´´ - 2006年10月23日 (月) 13時46分


昨日、とてつもない事件が起こってしまった・・・。
あのダントツで可愛いナツキちゃんが僕と同じでぱっとしない後輩のシクーくんの告白を受けちゃったんだ・・・。
周りがみんな笑った様に、シクーくんの告白は無理だとおもっていた。けれど、ナツキちゃんはあっさり承諾してしまった。
シクーくんと僕は同じタイプの人間だとおもっていた。
思っていた事を口には出せず、そのまま何もせず時間に流されるだけなのかと・・・。
でも、シクーくんは見事に告白に成功し、誰もがあこがれるナツキちゃんをゲットする事になったんだ。

そして、今日、朝練で顔を出してみると、シクーくんをカレンちゃんが中心の中2の子達が茶化していた。
噂はとてつもなく早い速度で伝わったみたいだ。
無理もないね・・・。あんなに豪快にこけて、そして、告白した上に成功したんだから・・・。
でも、それを横目で見ている男が一人・・・。
あの時いた、カズマくんだ。
そう言えば、彼は彼女の幼馴染だった。それがあんな形で盗られたとなっては心底穏やかじゃないと思う。
彼は何か言おうとシクーくんに近づこうとしたけれども、ハルキくんやヒカリ先輩が来て、練習は始まった・・・。


後で僕はシクーくんおめでとうとそう言った。彼は照れながらもありがとうと言って答えた。
いつか僕もシクーくんのように告白できるだろうか?
好きな女の子の前で告白する事・・・。それは僕には出来そうもない。
告白して失敗した場合、僕は立ち直れそうもなく、ずっと後を引きずりそうだから・・・。
そう、ルックスも顔も良くない僕が告白して成功する確率なんて0に等しいに決まっている。
だけど、もし、僕の事を好きになってくれる人がいるのなら・・・勇気を出して告白したい。
そう、シクーくんのように・・・。



〜誰かの秘密日誌より〜


コトハ「誰の日誌?」

モトキ「俺のではないことは確かだぜィ♪」

コトハ「誰も、モトキに聞いてないわよ!!」

モトキ「ひどいな・・・コトハちゃん・・・。しかもいつの間にか呼び捨て?(汗)」

ネスカ「それにしてもびっくりしたなぁ」

リュウ「うん、びっくりしたね」

ネスカ「何気なく、サッカーをやっていて人の集まる方に言ったら、シクー先輩が告白しているところだったし」

リュウ「うんうん」

ホタネ「オイラもびっくりだよ!ミカゲ先輩とユウト先輩が柱に隠れているのを見つけたから、オイラもと思ったら、いきなりあっちの方で告白始めるんだもん!」

コトハ「私もびっくりしたわよ。後でナツキちゃんにシクーくんでホントにいいのって聞いたら、うんて答えるんだもの・・・」

ヒロト「って、ここにいる人・・・みんな見ていたんだね。そのシーン・・・(汗)」

コトハ「あ!ヒロトさん!よし!それじゃ、今度は私がヒロトさんに告白する番よ!」

ヒロト「秤エは受けないよ!(汗)」

ホタネ「面白そう!追いかけろー!!」

コトハ、ヒロト、ホタネ離脱

カレン「あれ?所でなんでヒロトさんがいるの?」

モトキ「さぁ?それより、日誌の人物って・・・誰だ?誰だ!?誰だー♪」

ネスカ「せめて、こう言うときは、歌わないで下さいよ!」

カレン「私は知ってるよ♪だって弓道部の先輩だもん!」





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